はかま姿の学生の頭上に花開く薄桃色。卒業・入学の門出に、さりげなく桜が彩りを添える。年明けには開花を迎える沖縄で生まれ育ったからか、東京で出合う光景がうらやましい

▼昨春も長男と幼稚園の入園式に向かう道すがら、満開のソメイヨシノの並木に見とれた。特段思い入れはないのに、こうも心を動かされるのは、すり込まれた潜在意識か、それとも、はかない花の持つ魅力か

▼きのう、東京・九段下の靖国神社を訪ねた。気象庁が咲きぶりを見極める標本木は、数輪で開花宣言された17日から1週間もたたないうちに五分咲きほどになっていた。桜の名所、千鳥ケ淵も日増しに色づいている。春分の日に降った名残雪の影響を心配したが、草木の生命力には杞憂(きゆう)だった

▼桜の開花時期の目安に「600度の法則」があることをご存じだろうか。2月1日からの最高気温を足し、合計が600度を超えると蕾(つぼみ)がほころぶという。過去30年をみても、誤差は数日以内に収まるらしい

▼実際に東京の気温を足してみた。17日時点で558度。3日後の20日に600度を超えた。今年の桜は少しせっかちだったようだ

▼2カ月前に開花し、見頃を終えた沖縄は、若葉が芽吹くうりずんの季節。心地よい涼風がほおをなでる。やがて、梅雨入り間近を告げるデイゴの深紅の花が咲く。(西江昭吾)