日本銀行の黒田東彦総裁の再任が決まり、4月から2期目に入る。副総裁には、雨宮正佳理事と若田部昌澄早稲田大教授が就き、新たな執行部が動きだした。

 金融緩和を進めてきた黒田総裁と日銀出身者、さらなる緩和強化も示唆する学者という陣容で、これまでの体制、政策が今後も継続されることになる。

 黒田総裁は2013年4月に「2年程度で物価上昇率2%を達成する」とし、国債の大量購入などで「異次元緩和」ともいわれる政策を進めてきた。

 日銀が市中に大量にお金を流し込めば、物価が上がらないとのデフレマインドが変わり、消費や投資が活発化して物価が上がるという考えである。

 この5年間で、物価上昇率は1%をうかがうようになり、円安は修正されて、企業収益も過去最高水準に拡大。雇用環境も改善している。

 08年のリーマンショックの後遺症から世界経済が立ち直ってきた時期と重なっており、金融緩和の効果で日本経済が立ち直ったと結論づけるのは難しい。だが少なくとも物価下落が続く状況ではなくなり、景気回復を後押ししたとは言える。

 それでも2%の目標の達成は見通せない。黒田総裁は達成時期を6度も先送りした。19年度ごろには達成するとしているが、専門家からは悲観的な見方も少なくない。

 2%の目標を掲げ続けるのがいいのかどうか。政策の効果や世界経済の現状なども踏まえ、検証する必要がある。

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 国債買い入れからマイナス金利、長期金利ゼロと緩和策を次々と打ち出してきたが、副作用も問題となっている。

 超低金利下で、利ざやが縮小し、資金運用難などから地方の金融機関の経営は圧迫されている。収益悪化が続き、経営の健全性に影響が及ぶようになれば、銀行の貸し出し能力の低下という本末転倒の事態を招きかねない。

 政府の財政規律の緩みも懸念され続けてきた。国の借金は膨れ続け、債務残高は国内総生産(GDP)の2・5倍を超えて、先進国でも最悪の水準となっている。

 財政危機への懸念から国債価格が下がって金利が上昇してもおかしくないが、日銀が国債を買い支えているため、危機感は高まらない。消費増税も2度延期され、財政健全化も先送り。緩みは顕在化していると言わざるを得ない。

 副作用も検証し、緩和政策の出口の模索も重要課題だ。

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 大規模金融緩和の出口に道筋を付けるとなると、急激な円高や長期金利の上昇という事態を招く恐れもある。金融市場に混乱を与えないよう、市場との丁寧な対話を心掛け、妥当な方向へ軟着陸させてもらいたい。

 出口を模索すると、蜜月だった政治との間で摩擦も生じよう。利上げを目指すと、政府が景気悪化や国債利払いの増加を懸念するからだ。

 金融緩和は永続できない。日銀は中長期的な日本経済の先行きを見据え、出口の模索を国民や政府に説明し、実行していかなければならない。