高校のない離島から本島の高校に進学する生徒や家族にとっては、待ちに待った朗報である。

 那覇市東町に県立離島児童生徒支援センターが完成し、開所した。「15の春」に「島立ち」をする生徒と、その家族の経済的・精神的負担を軽減する。

 寮の愛称は「群星寮(むるぶしりょう)」だ。

 さまざまな夢や希望を抱いて入寮する生徒一人一人が、輝く星として、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長する。そんな願いを込めた。

 群星寮から沖縄を背負うような多くの人材が輩出されることを期待したい。

 地理的、経済的理由によって教育を受ける機会が失われることがあってはならない。だが、島ちゃび(離島苦)は実際には、人材育成という何よりも大切な教育にも及んでいるのが現状だ。

 子どもを本島へ送り出す親は、経済的負担が大きい。母親が子どもについていき、父親が島に残るケースも珍しくない。

 沖縄振興開発金融公庫が公表している最新の教育資金利用者調査報告(2012年度)によると、島外へ進学する子どものためにかかる教育費の割合が世帯年収の平均約6割を占め、家計を圧迫していることがわかる。

 中でも住居費が2~5割を占め、教育費全体の負担を押し上げている。沖縄タイムスの調査でも8割以上の家庭が公立寮を希望していた。

 寮の完成によって親にとって経済的負担が軽くなることは間違いない。

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 群星寮の寮費は月1万8700円。県教育庁によると、離島の高校生のための修学支援として現在、国、県、離島自治体が分担して生徒1人当たり、住居費や帰省費として年額24万円を支給している。月額2万円に相当し、寮費を丸々賄える勘定だ。

 寮には教職員免許を持った舎監ら5人が24時間、3交代で常駐し、規則正しい生活を奨励する。食事も朝夕の2食を調理業者に委託している。

 親にとっては島の小さなコミュニティーから出て都市部で暮らすようになると、子どもの食生活や生活リズムが乱れないか心配すると思うが、その不安を解消する体制だ。生徒たちも離島の出身同士ということで生活環境の急激な変化にあっても、精神的負担が軽くなるはずである。

 寮は年明け早々に開所しており、すでに高校1、2年生が入寮している。

 与那国、伊江、南北大東、座間味島出身者らである。新年度から入寮が内定している新1年生40人を含め59人が寮生活を始める。新2、3年生枠はまだ空きがあるという。

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 県内の15市町村23離島には高校がない。沖縄21世紀ビジョン基本計画では「高校へ進学するためにやむを得ず出身離島を離れる生徒・保護者の負担軽減を図るための支援に取り組む」とうたっている。

 離島の学校では複式学級が多いなどまだまだやるべきことがある。群星寮はその取り組みのスタートと捉えてほしい。教育の機会均等の観点から、離島を理由に教育環境が左右されてはならない。