施錠された3畳ほどの小屋。立つこともままならない狭い密室の小さな窓から、どんな思いで外の世界を見ていたのだろうか

▼精神障がい者を隔離した「私宅監置」跡が本島北部で見つかった。監置されていた男性は戦後、精神疾患を発症し、1952~66年の間、ここで過ごしたとみられる

▼71年9月7日付の本紙に、私宅監置されていた女性ら3人の精神障がい者が保護された記事が載っている。「動物以下の扱い」の見出し。十数年間の監禁生活で足がなえ、立てなかったと伝える

▼本土で50年に廃止された私宅監置は精神科病床や医師、看護師の圧倒的不足のなか、監護責任が家族に押しつけられる形で沖縄に残った。大切な身内の存在を隠し通さなければならなかった家族もまた犠牲者だろう

▼沖縄は人口当たりの精神障がいによる受療率が全国平均より高い。沖縄戦の影響も指摘される。監置は法的に本土復帰の72年ごろまで続いた。男性は米軍統治下の沖縄に生まれていなければ、隔離されることはなかったはずだ

▼県精神保健福祉会連合会のメンバーを中心に有志が監置小屋の保存や歴史継承に取り組み、展示やシンポジウムを開く。「傷つけられた精神障がい者の尊厳を回復したい」。沖縄の精神保健医療の暗部ともいえる歴史だが、目をそらさず、考える機会にしたい。(高崎園子)