衆院選挙制度改革を検討する有識者調査会は14日、議員定数を465とする10削減と、都道府県の人口比に基づき定期的に定数を見直す新たな議席配分方式を柱とする答申を大島理森衆院議長に提出した。

 衆院選の「1票の格差」をめぐっては直近4年間で3回の「違憲状態」判決が下され、広島高裁では戦後初の「選挙無効」判決も出た。定数削減は、消費税増税とセットの「身を切る改革」として自民・公明・民主・維新が公約したものだ。にもかかわらず改革論議は党利党略に終始し停滞。あげく調査会に丸投げした経緯がある。

 改革を次の衆院選に間に合わせるにはことしの通常国会への法案提出が必須。ただ区割り作業に時間がかかるとの理由から、自民党内ではすでに緊急対策案が浮上しているという。疑問だ。

 現行制度の瑕疵(かし)の大きさを鑑みれば、調査会が答申を急いだ趣旨をくみ取るべきだ。

 一方、答申は人口比による単純調整にとどまり、改革は十分とは言えない。人口の多い5都県で定数増、沖縄含め人口の少ない地方13県で定数減となる。これでは国政が「都市部=大多数」の都合に偏る恐れが生じる。

 地方の過疎化が進み、都市部に人口と経済が集中する現状では、選挙を通した「地方=少数」意見の反映が民主主義実現の鍵だ。米軍基地の負担軽減を全国に訴える沖縄にとっては、まさに実感してきたことでもある。

 だが沖縄の定数は中選挙区時代の5から、1994年70年ぶりの大改正といわれた小選挙区制導入で4、今答申では3と減少し続け、定数減に対する不安はぬぐえない。

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 同じく「1票の格差」を指摘された参院選でも、地方4県の合区が決まった。対象の徳島・高知と鳥取・島根では、今夏の参院選で県から1人の議員も出せなくなる危機感が強い。

 衆参の選挙制度は、小選挙区制と比例代表制の混合制。民意をストレートに伝えやすい一方で「死票」が多くなる小選挙区制のデメリットを、少数意見が議席に反映されやすい比例代表制で補う。

 しかし近年は、過半数に満たない得票率で1つの政党が議席の7割超を占める異様な状態が生じている。2009年の民主党圧勝、12年と14年の自民党圧勝がそれだ。投票率が過去最低を更新し続ける状況を見れば、現行制度は果たして多数の意見をも反映できているのか疑わしい。

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 投票率上昇の対策は急務で、投票する1票を最大限に生かす選挙制度改革は一層急がれる。二院制の特質を考慮するなら、衆参ともに同じような選挙制度で良いのかを議論する手立てもあろう。

 安倍晋三首相が開会中の国会で宜野湾市長選や参院選を見据え「安全保障に関わることは、一地域の選挙で決定するものではない」と選挙軽視の発言をしたのはつい先頃のことだ。そうした傲慢(ごうまん)な態度も、選挙制度の歪(ゆが)みがもたらした「1強多弱」の結果であることを、私たちは忘れてはならない。