しまくとぅばに新たな役割を持たせたい-。しまくとぅばの継承に取り組むしまくとぅば連絡協議会の池原稔会長は、自身が経営する企業で2017年夏から、名護親方の「琉球いろは歌」をテーマとした土産物の自販機を設置し、しまくとぅばの観光資源化に取り組んでいる。昨年同時期には、連絡協で県議会にしまくとぅばを使った一般質問に取り組むよう求める請願書を提出。議会側が困難視したため請願は取り下げたが、民間の立場で独自の活動を続けながら、政治や行政の新たな保存と継承へのアプローチを期待している。(政経部・銘苅一哲)

しまくとぅばグッズの自販機の前で、新たな継承保存の必要性を語るしまくとぅば連絡協議会の池原稔会長=日、嘉手納町

 池原会長は連絡協議会として活動する中で、しまくとぅばを継承するためには会話などの意思伝達だけでなく、観光資源など別の役割を持たせることで文化として保存することが重要と考えるようになったという。そして、昨年夏に新しい保存のあり方として考案したのが名護親方の「琉球いろは歌」の琉歌が流れる自販機の設置だ。

 「下手からどぅ習てぃ、秀りいんしゆる、及ばらんとぅ思てぃ、思案すんな(人は誰も最初は下手なものです。だからこそ勉強し優秀になれるので、心配はいりません)」 

 設定した時刻に琉球いろはの琉歌を読み上げる音声が流れ、詞がプリントされたTシャツや帽子、タオルなどのグッズを販売する。琉球いろは歌は47首あり、自販機を県内47カ所に設置する計画だ。

 昨年夏に北谷町美浜のメディアステーション、名護市のひんぷんガジュマルの2カ所に自販機を置き評判は上々だ。現時点で20カ所ほどの観光施設などへの設置が決まっているという。

 自販機は池原会長が経営する医療電子カルテを開発、販売する会社が独自に開発。会社の前に置かれた整備中の自販機を前に「販売するグッズは社員が手作業で制作する。利益よりも自販機の設置と運用を優先しています」と活動の意義を熱っぽく語る。

 新たな保存、継承を政治や行政にも求めている。池原会長ら連絡協議会のメンバーは昨年6月、県議会でしまくとぅばを使って質問、答弁する機会を設けるよう求める請願を提出した。

 請願を受け取った新里米吉議長はしまくとぅばの継承の必要性に同調しつつ、「地域によって言葉が異なり、質問される執行部が理解できない可能性もある」と課題を上げた。別の議会関係者からも同様の指摘を受けたため、請願を取り下げたという。

 県議会は2006年に9月18日を「しまくとぅばの日」とする条例を制定。イベントや講演会などが県内各地で開催されている。

 池原会長は条例制定から10年以上が経過したことを機に、政治や行政が新たな取り組みを議論するきっかけとするために請願を提出したという。

 池原会長は「請願は取り下げたものの、政治、行政と民間がそれぞれ新たなアプローチを考えなければいけない」と視野を広げた取り組みの必要性を訴えた。

しまくとぅばグッズの自販機の前で、新たな継承保存の必要性を語るしまくとぅば連絡協議会の池原稔会長=22日、嘉手納町