「辺野古・大浦湾シンポジウム」(県主催、日本自然保護協会共催)が24日、浦添市で開かれた。

 パネル討論でフランソワ・シマール氏は「美しいだけでなく、これほど多様なサンゴ礁が見られる場所は珍しい」と語った。

 専門家らは、生物多様性の豊かな辺野古・大浦湾の海を絶賛するとともに、「大きな力で壊せば自然は元に戻らない」と警告を発した。

 サンゴ礁生態系が急速に失われていく中で、辺野古・大浦湾の海は、沖縄の中でも例外的に貴重な存在だ。

 新基地建設に伴う護岸工事が進む辺野古崎では、この夏にも土砂の投入が始まる。

 今は「二度と後戻りできない状態ではない」(翁長雄志知事)かもしれないが、県知事選を意識して政府が作業を加速させるのはあきらかで、自然環境への影響は避けられない。

 シンポジウムは、工事を中止し生態系への影響を調査すること、計画を断念すること、などを日米両政府に求める声明を採択した。この声明は、緊急の行動指針になり得るものであり、現段階での対応として極めて重要だ。

 例えば、これまでに確認された3頭のジュゴンのうち個体Cの情報は、途絶えたままだ。昨年には、新たに希少サンゴ類も見つかっており、サンゴ類の分布を正確に把握することが欠かせない。

 まずは工事を中止し時間をかけて徹底調査を実施すること。新たな調査を「見える化」し、その評価についてもオープンにする必要がある。

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 県議会与党の中には、県民投票を実施し、その結果に基づいて、民意を理由にした公益上の撤回に踏み切る、という考えがある。

 「撤回の前に県民投票を」という考え方だ。「撤回こそが優先すべき緊急の対応」だという意見も根強い。反対派の意見はまとまっていない。 ただ、現時点で言えることが一つある。

 土砂投入が始まっても何もせず、貴重な時間を浪費すれば、支持者の反発が強まり、翁長知事の知事選出馬さえ政治的に危うくなる、という点である。「工事を止める」という主張に現実味が感じられなくなるからだ。

 「緊急対応」として、政府に工事の中止と影響調査を正式に要求することを県に求めたい。ただし、政府が工事中止に応じる可能性はなく、それだけでは不十分だ。

 「緊急対応」として同時に取り組むべきは、国際サンゴ礁年2018にふさわしい一大キャンペーンである。

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 辺野古の海を埋め立てて新基地を建設することが沖縄の未来にとっていかに大きな損失であるかをもう一度国内外に訴え、米国のジュゴン訴訟とも連動させることである。

 世界自然遺産登録を将来的には陸域だけでなく辺野古・大浦湾の海域に広げる。そんな構想を持つべきだろう。

 夢を描いて県民に示すことが大切だ。

 同時並行して「撤回」と「県民投票」の考えを整理し、できるだけ早く「撤回」を実行することが望ましい。