米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の市長選挙がきょう17日、告示される。再選を目指す現職の佐喜真淳氏(51)と、新人で元県幹部の志村恵一郎氏(63)の一騎打ちになる見通しだ。

 24日の投開票に向け、激しい選挙戦が予想される。各党がこの選挙を重視しているのは、選挙結果が名護市辺野古の新基地建設の行方を左右することや、この夏の県議選、参院選にも直接、影響するからである。

 安倍政権や自民、公明の国政与党が佐喜真氏を全面的に支援し、翁長雄志知事や県政与党など「オール沖縄会議」が志村氏を応援していることから、メディアでは翁長知事と安倍政権の「代理戦争」という言葉も飛び交う。

 だが、前哨戦を見る限り、「辺野古」をめぐる争点はかみあわず、今になってもすれ違ったままである。

 佐喜真氏は基本政策の中で「普天間飛行場の固定化を許さず、その危険性を除去するため、5年以内の運用停止および1日も早い閉鎖、返還に取り組む」ことを挙げる。

 志村氏は重点施策の中で「新たな基地を認めず、普天間基地の5年以内の運用停止、一刻も早い閉鎖・返還を求める」ことを挙げる。

 字面だけでは違いが分かりにくい。決定的な違いは、志村氏が新基地建設に反対する姿勢を鮮明に打ち出しているのに対し、佐喜真氏は「辺野古」の賛否に触れていないことだ。「辺野古」を争点化しないという佐喜真陣営の選挙戦術は徹底している。

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 わかりにくい選挙である。 安倍政権は「辺野古が唯一の選択肢」だと主張し、辺野古移設が進まなければ普天間が固定化すると語ってきた。佐喜真氏はそのことをどう思っているのか、どのようにして早期の危険性除去を実現する考えなのか。

 公明党県本は2013年12月、普天間移設問題について県外移設を求める提言を発表し、固定化論は「県民をおどす文句」だと強く批判した。公明党が佐喜真氏を推薦しているからこそ、その点を佐喜真氏に聞きたいのである。

 志村氏に聞きたいのは、新基地建設に反対しつつ、どのような道筋で一刻も早い閉鎖・返還を実現していくか、という点である。

 政府との対立関係を解消せずに早期返還を実現するのは容易でない。現状を打開するためには日米両政府を交渉のテーブルに着かせることが必要になるが、そのための具体策をどう考えているのか。

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 「普天間」を返還するために「辺野古」に半永久的な高機能の基地を建設する。そのような選択を県民に迫ることが、果たして公正公平な政策といえるのか。候補者はこの根源的な問いに対し、自らの考えを述べ、有権者の判断を仰ぐべきである。

 市政は産業振興やまちづくり、福祉、教育など市民生活に直接関わる多様な本来業務を抱えている。これらの問題についても、選挙中に争点を整理し、論戦を深めてもらいたい。 

 争点のかみ合わない選挙ほどむなしいものはない。