【森田のりえ通信員】カリフォルニア州で唯一の日系人敬老ホーム4施設の売却問題が、いま日系人の間で大きな話題を呼んでいる。

日系人敬老ホームの売却問題について話す(左から)モーズベイ春さん、神山小夜子さん、高良ナオミさん

 50年前、日系人がリタイアした後、残りの人生を安心して暮らせるようにという思いから、日系人有志が日米の両国を奔走して寄付金を集め、日系コミュニティーが協力してつくった施設である。非営利団体のため日米の団体や個人からの多額の寄付金、カリフォルニア州からの援助、地域ボランティア・メンバーなどのサポートで成り立ってきた。

 昨年9月ごろ、営利団体へ売却する話が浮上。今年、売買契約が成立する段取りになっているという。突然の話に居住者や日系人が立ち上がり「敬老を守る会」ができた。17人の加州議員も加わり、署名活動が行われ多方面から1万5千の署名が集まり、売却反対運動が起きている。

 元気なお年寄りが多いロサンゼルス市ボイルハイツにある引退者ホームで暮らす沖縄系の女性らは不安そうに話した。名護市出身の両親を持つ神山小夜子さん(89)は「居住者に説明もなく、売却の話に驚いている。毎年居住費が3%値上がりしており、営利団体が運営すればもっと上がるのではないか。州司法当局の書類では今後5年間は現状を維持すると書かれているが、5年後はどうなるのか」と不安な様子で話した。

 宮古島出身のモーズベイ春さん(86)は「日本から政治家や一流の芸能人が来ると必ず敬老に寄ってくれる。文化活動は35もあり、アメリカの会社へ売却となれば日本伝統文化の活動も維持される確証はない」と指摘。読谷村出身の両親を持つ高良ナオミさん(80)は「週一の掃除、シーツやタオルの交換をしてくれる。病院や買い物の車を出してくれて、野球や音楽会も年4回無料で連れて行ってくれる」と話した。