長野県軽井沢町の国道18号で15日未明、スキー客39人を乗せた大型バスがガードレールを突き破り転落。大学生男女12人と運転手2人の計14人が死亡、27人が重軽傷を負う大惨事となった。

 スキーツアーは東京都内の旅行会社が企画し、バスは都内の別の会社が運行していた。東京・原宿を出発し、長野県北部のスキー場に向かっている途中で事故は起きた。

 国土交通省が実施している特別監査で、バス運行会社のずさんな管理の実態が次々に明るみに出ている。

 「運行指示書」には発着地だけが書き込まれ、ルートは記されていなかった。別の複数のツアーでも同様だった。

 事故があった日は目的地に到着していないにもかかわらず、業務が終了したことを示す印が事前に押されていた。当日の点呼も社長が遅刻して運転手2人の出発前の健康状態が確認できなかった。だが、書類には点呼をしたと、押印していた。

 昨年2月、運転手13人中10人に健康診断を受けさせていなかったことなどが分かり、事故の2日前に行政処分を受けたばかりである。

 運転手の労働時間が基準を超えていたケースもあり、恒常的に法令違反をしていた疑いが濃厚である。

 一方、ツアーを企画した旅行会社が国の基準の下限(約27万円)を下回る約19万円を提示し、バス運行会社が受注していたことがわかった。道路運送法違反に当たる。低料金設定の結果、安全管理を置き去りにすることになったのでは、との疑念が消えない。

■    ■

 スキーツアー客の中には沖縄県出身で広島県の大学で学ぶ女子学生(19)もおり、死亡した。友人で県内の大学に通う女子学生(19)も重傷を負った。

 死亡した女子学生は、臨床工学技士を目指していた。指導していた男性講師の話では「大きな病院に勤め、いろいろなことに対応でき、人を助ける技士になりたい」と夢を描いていたという。まだ10代の若さである。本人や遺族の無念さを思うと胸が詰まる。

 事故が起きたのは午前2時前で、ほとんどの乗客は眠っていたようだ。運転手からはシートベルトの着用を呼び掛けるアナウンスもなかったという。乗客は何の身構えもできないまま、事故が発生したとみられる。

 旅行会社の事前の行程表には事故現場のルートは入っておらず、なぜ変更したのか。タイヤ痕は片側1本だけで、車体の片側が浮いた状態で走行したのではないかとの見方が出ている。路面の凍結もなかったといい、何が起きたのか。解明すべき点は多い。

■    ■

 群馬県藤岡市の関越自動車道で2012年、ツアーバスが防音壁に衝突。男女7人が死亡した事故が思い出される。運転手は過労で眠気を催しながら運転していた。

 この事故を契機に国交省は運転手1人の夜間走行距離を400キロに引き下げるなど規制強化したが、また事故が繰り返された。

 警察と国交省は原因究明を徹底し、バス業界に横たわる問題をあぶり出し再発防止策につなげなければならない。