「私を置いて行ってしまうんだね」。春の人事異動を知った男性から、冗談交じりで連絡をもらった。男性との出会いは、炎天下の慰霊祭の帰り道。すれ違い際に、毎日ごみ拾いをしている人を取材してとほしいと懇願された

▼以来、地域の面白い“ネタ”を携え、取材の段取りまで買って出てくれたことも。子どもたちの登校の安全を見守る交通安全指導を長年続けているが、自身の活動はさておき、他人を褒める

▼地域をよく知り、地域の人への目配り気配りを忘れない男性を通して、新たな地域の良さを発見できた。地域に拠点を置く支社・支局勤務の醍醐味は、こうした出会いである

▼公民館で会った女性は、目が合った瞬間からゆんたく。書道や俳句への思い、ボランティアの話、沖縄戦の体験、相次ぐ米軍機の事故の多さを嘆き、平和が一番だと切々と訴えてきた。以後、連絡は途切れない

▼地域における人間関係の希薄化がいわれるが、多くの人の地域への思いに触れるとき、地域の力につながると確信する。同時に人とのつながりが誰にとっても人生の糧になると

▼茶人の千利休はこんな言葉を残している。「小さな出会いを大切に育てていくことで、人生の中での大きな出会いになることもある」。もうすぐ4月。これまでの出会いに感謝しつつ、新たな出会いが楽しみだ。(赤嶺由紀子)