県民に水道水を供給している県管理の北谷浄水場で、嘉手納基地から出たとみられる高濃度の残留性有機汚染物質が検出された。県企業局と沖縄防衛局は基地内立ち入り調査を実施し、事実関係を明らかにするとともに、健康不安を訴える住民に対して相談・検査体制を整えるべきだ。

 企業局によると、嘉手納基地周辺の河川や水をくみ上げるポンプ場から高濃度で検出されており、汚染源は嘉手納基地の可能性が高い。

 汚染物質は有機フッ素化合物でPFOS(ピーホス)と呼ばれる。航空機用の作動油や泡消火剤などに使われるが、現在、国内では原則として製造、輸入、使用が禁じられている。ダイオキシンやPCBと違って水に溶けるのが特徴だ。生物実験では反復投与によって死亡したり、体や臓器の重量に変化が出たりすることが報告されている。

 京都大の小泉昭夫教授(環境衛生学)によると、ピーホスは環境中ではほとんど分解されず、体内に蓄積し、半減するまで約4~7年かかる。特に妊婦が長期間、摂取すると、子どもの成長に影響を及ぼすという。

 企業局が2014年2月から15年11月まで月1回行った調査では、北谷浄水場で1リットル当たり最大値80ナノグラム、嘉手納基地周辺の大(だ)工(く)廻(じゃく)川1320ナノグラム、比謝川ポンプ場543ナノグラム、長田川ポンプ場408ナノグラムを検出。

 厚労省のここ10年近くの全国調査で原水が最大22ナノグラム、浄水が最大19ナノグラムであることを考えれば、突出している。

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 北谷浄水場は北谷、宜野湾、沖縄、那覇、浦添、北中城、中城の7市町村に給水。健康不安を訴える住民に対し、企業局の意識は薄いと言わざるを得ない。

 まず「直ちに健康上の問題は生じないと思われる」と言っていることだ。米国の浄水は暫定健康勧告200ナノグラムだが、日本は規制値がなく、米国などの数値を基にしており、精査が必要である。

 次に、関係市町村への直接説明がないことである。住民説明会を開催すべきだ。報道されると、問い合わせが殺到し、急きょ20日に市町村に説明することになった。

 問題なのは08年に嘉手納基地内の井戸から1870ナノグラムを検出しながら、米軍へ問い合わせることをせず、公表もしなかったことだ。この井戸からの取水を停止したのはピーホスが法規制された後の11年である。この間の経緯を示す資料も会見時までに探し出すことができなかった。

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 汚染源は嘉手納基地に由来することが濃厚だ。基地内におけるピーホスの現状と管理はどうなっているのか。基地内の環境汚染問題は日米地位協定によってブラックボックスになっている。国内法が地位協定によって制約され、住民の生命・安全が侵害されている典型的なケースだ。

 日米両政府は昨年9月、「環境補足協定」に署名した。基地立ち入りを含め米側は日本側の要請にすべて妥当な考慮を払うとうたっている。

 米軍は速やかに県の立ち入り調査を認め、原因究明に当たるべきだ。