9秒でまるわかり!

  • のあちゃんの心臓移植の渡航手術目標額3億2千万円は国内過去最高
  • 15年の松島君に比べ、入院保証金は円安のため6千万円余高い
  • 国内の移植数は圧倒的に少なく、高値でも海外渡航せざるを得ない

 心臓移植の渡航手術費を募金で賄ったケースは、翁長希羽ちゃんが県内で4人目だ。費用は増加傾向にあり、目標額の3億2千万円は「同種の募金活動では国内でも過去最高額」(のあちゃんを救う会)という難関だった。15歳未満の脳死下の臓器提供を可能にした2010年7月の改正臓器移植法施行後も提供数が伸びない日本で、患者や家族の苦悩は深まっている。

 渡航移植には、受け入れ先の病院へ事前に支払う入院保証金(デポジット)に加え交通費や現地滞在費などが必要で、県内の過去の事例では1億~2億円前後。希羽ちゃんにはさらに、大型の補助人工心臓装置のスペースと高電圧に対応できる医療用小型ジェットのチャーター代約3500万円などが上乗せされた。

 救う会によると、15年2月に手術を受けた松島良生(らい)君=北谷町=の時より2割ほど円安の影響も受け、デポジットは6千万円余り高い。自国内での臓器移植を促す08年のイスタンブール宣言で、欧州などは他国からほとんど受け入れない上、米国にも外国人枠があり、高額化の一因とされる。

 日本移植学会の14年資料では法施行後、日本の人口100万人当たりの心臓移植数は0・23人。増えたとはいえ欧米の5~6人などと比べ圧倒的に少ない。また日本臓器移植ネットワークによると4日現在、心臓移植を希望する15歳未満は25人(うち10歳未満18人)いるが、この5年で15歳未満からの臓器提供は9例、6歳未満の心臓移植に限ると3例にとどまる。時間的猶予がない患者側は海外に望みをつなぎ、受け入れ先の「言い値」をのまざるを得ないのが実情だ。

 11年4月に長女美優(みゆ)さんの米国での手術が成功した要俊明さん(51)=浦添市=は「美優の時でさえ1億円以上必要と言われ、目の前が真っ暗になった。3億円を超えると、個人の募金呼び掛けも限界だ」と強調。国による患者の負担軽減策などを求め「国内外ともに、助かる道が閉ざされる状況が何よりも怖い」と訴える。