消費者にとって食品を買う際、安さは魅力の一つ。加えて品質や量、生産地、消費期限なども購入の決め手となる。品定めが時間との闘いになることもしばしばだ

 ▼ただ、手元に届くはずのない食品が食卓に並ぶ事態は想定外である。カレーチェーン店を展開する壱番屋の異物混入の疑いがある冷凍カツが、廃棄依頼を受けた処理業者によって不正転売された事件が食の安全を脅かしている

 ▼廃棄物処理業者から購入した製麺業者は、ほかにも廃棄処分されたはずの商品を保管する事実が明らかになってきた。企業の悪質な行為に怒りを覚える

 ▼これまでも産地や表示偽装など食の安全を揺るがす問題が度々起きている。今回は食品の廃棄、流通過程での不正で直接消費者が確かめることができないだけに、不安は広がる

 ▼なぜ、このようなことが起こったのか。製麺業者から食品ブランドの名を疑うことなく低価で仕入れた卸業者らが、小売店などに転売。安さを売りに客を呼び込む小売店の競争激化もあるだろうか。氷山の一角という可能性も否定できない

 ▼環境省は19日、都道府県に廃棄物業者への適切な指導を要請。壱番屋も廃棄物処理作業に社員を立ち会わせるなどの再発防止策を発表した。食品流通の信頼にかかわる問題でもあり、業界全体の実態把握が求められる。(赤嶺由紀子)