てびちは「猪脚」、三枚肉は「蜜制猪肉」-。国際通りから少し外れた雑居ビルに入る沖縄そば屋に、手作り感あふれる中国語のメニューができた

▼あまり目立つ店構えではないが、観光客に出くわさない日はない。20年以上通う身ながら、このごろ値段が上がってきたのが気になる。中国人には軟骨やソーキそばが人気で、食べ盛りの修学旅行生から注文が多いのは、3種の肉にジューシーが付いた千円そばセットだ

▼値上がりの傾向はこの店に限らない。国際通りの飲食店は「観光客価格」のイメージもあり、模合などで普段から利用する県民は少ないだろう。栄町など地元の魅力が色濃く残る場所を求める人は多い

▼沖縄経済はかつてないほど好調と言われる。県内地価は5・7%の上昇で全国最大の伸び率。観光客数はハワイを上回り、ホテルの建設計画が連日伝えられる。移住者による不動産の取得熱も需要に一役買っている

▼だが、好景気を実感できる県民はまだ少ないのではないか。那覇近郊の地価は、土地の相続でもなければ一戸建てマイホームは夢に近い水準にまで達している

▼地価上昇は中長期的にはアパートの家賃や店舗の賃料引き上げにつながるだろう。長年庶民の味として親しまれてきた沖縄そばが「一杯千円」になる、そんな悪夢のような日がこなければいいのだが。(知念清張)