子どもたちに温かい食事とほっとできる場所を用意する「子ども食堂」の取り組みが広がっている。

 昨年5月、沖縄市諸見里に「ももやま子ども食堂」ができたのを皮切りに、浦添市、南城市などで相次いでオープン。那覇市では開店に向けた準備が進んでいる。

 見えにくいといわれる子どもの貧困だが、地域にいるからこそ深刻さを肌で感じ、何とかしたいとの思いに突き動かされたのだろう。地域の子を地域で見守り育てる草の根の運動だ。

 運営するのは、子育てやひとり親世帯、生活困窮者支援などに携わる人たち。食材の多くは近所の農家や企業、住民からの差し入れでまかない、子どもには無料あるいは低料金で提供している。

 「親の仕事が遅く1人で夜を過ごさなければならない」「親が病気で食事が準備されていない」「経済的に苦しく食事もままならない」など、訪れる子どもの事情はさまざま。ご飯を食べるだけでなく、ボランティアの大人と遊んだり、大学生のサポーターと勉強をしたり、思い思いの時間を過ごしている。

 なぜ今、子ども食堂なのか。

 背景にあるのは「ご飯が足りない子は、それ以外のことも足りていない」という危機感と、「子どもを放っておけない」という共感である。

 食事は支援の入り口で、食堂で地域の大人と子どもがつながり、子どもを通じて苦しい状況にある親も支援につなげたい狙いがある。

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 山形大学の戸室健作准教授の推計によると、2012年時点の沖縄の子どもの貧困率は37・5%。全国平均の3倍近くに上り、都道府県別では最も厳しい。

 子どもの貧困が問題なのは、そのことが社会的孤立や文化的資源の不足、低学力、虐待、非行と結び付き、将来に大きな影響を及ぼすからである。

 例えば、お金がないから進学できないとなれば、勉強しても仕方がないという気持ちが起こり、やる気がどんどん奪われる。県内の高校、大学進学率が全国一低いのは、貧困と無関係ではない。

 地域に子どもを受け入れてくれる場所があって、優しく見守る大人がいるというメッセージを発信し続けることは重要である。子どもが気軽に立ち寄るためにも、小学校区に一つは子ども食堂を設置する運動に発展させてほしい。

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 子どもの貧困率37・5%は、07年の調査から7ポイント近くも悪化している。その間に行政が有効な対策を打ち出さなかったことを示す数字でもある。草の根支援は心強いが、だからといって政府の役割と責任が軽くなるわけではない。

 来年度沖縄予算に子どもの貧困対策事業費10億円が計上された。子ども食堂などの支援にも充てられる見込みだ。

 子ども食堂に限らず、無料の学習塾や若者の居場所づくりに奔走するNPOはどこも資金難で、活動はボランティアの志と手弁当によって支えられている。民間の取り組みを後押しする、国の支援が急務だ。