「風邪をひいた後、咳(せき)が長引いて…」。このように多くの方が咳で困って医療機関を受診されます。咳と一言で言ってもその原因は多種多様のため、私たちは(咳でおつらいはずですが)質問を交えながらお話を伺っていきます。

 咳は定義上、急性(3週間未満)、遷延性(3週間以上)、慢性(8週間以上持続)に分類されます。遷延性、慢性になるにつれて通常の感染症以外の原因である割合が増えますが、長引く咳の多くは、感染症にかかった後に炎症は治まったものの咳が残っている状態である感染後咳嗽(がいそう)です。その他、夜間の症状悪化や季節性といった特徴がある咳ぜんそく、鼻・喉の症状もある副鼻腔(びくう)気管支症候群や後鼻漏、薬剤、逆流性食道炎等の可能性もあります。また、注意したい原因疾患の一つが結核です。中でも気管支結核はエックス線検査で見つかりづらいことがあります。

 気管支結核の主な症状は咳、痰(たん)、喘鳴(ぜんめい)ですが、例えば気管支ぜんそくの症状も同様です。そのため、エックス線所見が乏しいことも相まって、受診・診断に時間を要し、ぜんそく等の他の疾患として治療が継続されることがあります。もちろん、双方が長引く咳の原因となっていることもありますが、きちんとぜんそく治療を行っているにもかかわらず治療に対する反応がよくない場合は、他の疾患を合併している可能性も念頭に置いて検索を進めていきます。

 気管支結核は40~50歳代の、どちらかというと女性に多いとされています。周囲への感染の問題だけでなく、合併症・後遺症として気管支が狭くなっていくこともあることから、その予防のためにも早期に診断・治療に進みたいところです。

 診断には痰の検査や、画像検査(エックス線写真、CT写真)、気管支内視鏡検査(肺カメラ)等を行います。治療は肺結核と同じく結核治療薬の内服です。排菌(顕微鏡検査で痰に結核菌が確認される状態)がある間は入院治療となりますが、確認されない状態になれば外来通院に切り替えて治療を継続します。

 標準治療での治療期間は最短で6カ月です。残念ながら気管支の狭窄(きょうさく)が進行した場合は、その程度によっては外科的な治療が必要になることもあります。

 結核は過去の病気ではありません。そして、きちんと治る病気です。長引く咳は1度医療機関の受診を、通院中の方も新しい症状が出てきた場合や気になる場合は、かかりつけの先生へぜひご相談されてください。(新垣 珠代 沖縄病院呼吸器内科)