沖縄県が、全国でも珍しい教育支援に乗り出す。

 県外大学進学者への「給付型奨学金」の創設だ。来年度から募集を始め、2017年度から支給開始予定。1人月額7万円程度を4年間、初年度の募集枠は1学年25人を想定しているという。本土と海を隔てる島嶼(とうしょ)県のハンディ克服や子どもの貧困問題解決策として評価できる。

 翁長雄志知事の選挙公約の一つで「県子どもの貧困対策に関する検討会」も創設を提言していた。社会に渇望された制度であり、着実な実施に期待したい。

 日本は、諸外国に比べ大学の授業料が高いと指摘されている。比較的安い国立大学でも初年度は入学金を合わせ約80万円。私大文系で120万円、同医学系では470万円とのデータもある。沖縄から本土への進学は、さらに渡航費や住居・生活費が加わる。

 重い負担を背景に奨学金利用者は急増している。文部科学省が12年公表した資料によると、18歳人口は毎年120万人と横ばいだが「日本学生支援機構」の奨学金利用者数は増加。14年度予算ベースで年141万人に達した。

 ほかの制度も合わせると大学生の約半数が何らかの奨学金を利用しており、奨学金が無ければそもそも進学は厳しいとの実態も見える。

 県内ではこうした傾向に近年、利用者の低年齢化が顕著だ。県国際交流財団が05年度から始めた高校生の奨学金応募は、12年度に過去最多を更新した。貧困家庭の増加が懸念される近年だが、さまざまな数値からは、そうでなくとも教育費の負担に多くの家庭が堪えきれていない現状が浮かぶ。

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 利用者の増加に伴い増えているのが「返済苦」だ。日本では奨学金の9割が「貸与型」のため、利用する学生の中には、卒業時に数百万円の「借金」を抱えることも珍しくない。しかし、非正規など不安定雇用の増加を理由に、返済できない人が増えているという。

 返済が必要ない「給付型」は全体の8%と圧倒的に少ない。アメリカ34%、イギリス62%に比べても際立ち、日本の奨学金制度の構造的な課題が浮かび上がる。

 朝日新聞と河合塾が昨年実施した調査によると、全国の大学の74・8%が給付型を備えるが、募集人員は学生全体の6・5%にとどまる。そんな背景を基に、大学側からも給付型奨学金創設の必要性の声があがる。

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 先の大戦で荒廃を極めた沖縄ではかつて、国が本土の大学への進学を支援する「国費留学生」制度があった。1980年まで実施され、そうして進学した学生の中には、得た知識を沖縄に持ち帰ることで復興に貢献した人も少なくない。

 給付型奨学金は人材への先行投資であり、教育への投資が、将来の豊かな社会へつながることは実証済みだ。であれば創設を第一歩として、今後は県内大学や短大など対象の拡充が求められる。

 ニーズが一地域に限らないとすれば、国レベルの創設も急ぐべきである。