台湾南部に漂着した宮古島住民ら54人が先住民族に殺害された1871年の「牡丹社(ぼたんしゃ)事件」や、高雄市の南方海上にある「小琉球島」に思いをはせたCD2枚がこのほど完成した。「芭蕉布」の作詞で知られる名桜大学名誉教授の吉川安一さん(78)=名護市=が作詞、石垣市在の安里隆さん(74)が作曲を手掛けた。(中部報道部・赤嶺由紀子)

「牡丹社事件の物語」と「小琉球のアルバム」のCDの歌詞に込めた思いを話す吉川安一さん=名護市内

 台湾を学ぶ会(政岡玄章会長)が昨年企画した、事件が起きた場所や小琉球を訪ねる台湾の歴史を学ぶツアーで、吉川さんも参加。同会事務局長で名桜大学名誉教授の仲地清さん(70)=沖縄市=の案内や現地のガイド、関係者らから聞き取った史実を基に詞をしたためた。

 「牡丹社事件の物語」の歌詞は5番まで。吉川さんは「歌詞の分量が多いが、事実に沿って書くことが大事と思ったので、歴史書という意味も込めた」と話す。

 表現を選んだという3番。

 『見知らぬ異人に 芋粥の食 たんと与え 人々の救護に介護 心尽くしの慈愛の絆 漂流者の無秩序に 警戒不信 疑惑募らせて 54人の宮古人は 悲しくもあの世へと 友を送る 現在は御霊を 安らかに 葬る亀甲墓で』

 吉川さんは、その国の人や風土を知り、お互いに学ぶことが平和につながると言い、「曲を通して台湾と沖縄の心の結び付き、交流が深まればいいと思う」と期待する。

 「小琉球のアルバム」は3番までで、国際色豊かな観光客でにぎわう「兄弟島」の様子を書いた。

 作曲した安里さんは「吉川さんの詞の中には曲が隠れている。歌詞から生まれた曲。私も台湾生まれで、思いを込めることができた」と話した。仲地さんは「歴史の事実をCDにしたことで、今後、流行すれば交流のきっかけにできれば面白い」と期待した。

 CDは非売品だが、希望者は購入可能。2枚で千円。

 問い合わせは同会事務局長の仲地さん、電話090(6863)1735。