安倍晋三首相は22日、衆参両院で施政方針演説を行った。

 「同一労働同一賃金」に向けた決意表明など生活者視点の政策が目立ったのは、夏の参院選を意識してのことだろう。選挙向けの言葉は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する説明でも目についた。

 安倍首相が語ったのは、普天間飛行場や牧港補給地区の一部前倒し返還など基地負担軽減の「成果」と、埋め立て面積が普天間の3分の1以下になることなどで、普天間問題の説明に例年にない分量を割いた。

 宜野湾市長選を控え、さながら現職市長の応援演説のようだった。特に力を込めたのは、普天間飛行場全面返還の日米合意から20年となることを踏まえ「もはや先送りは許されない」とのくだりだ。

 政府が約束した普天間の5年以内の運用停止はどうなったのか。在沖米海兵隊のグアム移転の遅れが指摘される中、それまで普天間の危険性を放置するつもりなのか。宜野湾市民が聞きたいのはそこである。

 本当に「危険性除去」を優先課題とするのであれば、辺野古以外の方法が近道だ。

 辺野古に建設される基地は、新しい機能を備え、いったん建設されれば半永久的に固定化される。

 横田基地に配備予定のCV22オスプレイも、県内の基地や訓練場を使用することが明らかになっている。 

 辺野古移設について、県民の多数が反対していることは各種世論調査からも明らかであり、「不都合な真実」が語られないのはアンフェアだ。

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 選挙向けといえば、一昨年の名護市長選で、当時、自民党の幹事長だった石破茂氏が、辺野古推進の候補を応援するため500億円の基金を打ち上げたことがあった。

 昨年末の軽減税率協議で、公明党の主張を受け入れたのも、宜野湾市長選や参院選が念頭にあったといわれる。普天間にディズニーリゾート誘致をという唐突感のある話といい、選挙対策的なものが際立つ政権である。 

 安倍首相は「沖縄の皆さんと対話を重ね、理解を得る努力を粘り強く続けながら、明日の沖縄を共に切り開いていく」とも述べている。

 「皆さん」の中に翁長雄志知事や稲嶺進名護市長、移設に反対する県民は含まれているのだろうか。対話を閉ざし、工事を強行しながら、「明日の沖縄」がむなしく響く。

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 この日の衆院本会議は、甘利明経済再生担当相の「政治とカネ」をめぐる問題で開会が1時間遅れ、甘利氏の経済演説を前に民主党などの議員が退席する一幕があった。

 口利きの見返りとして建設会社から1200万円の現金や接待を受けていたと週刊誌が報じた疑惑である。事実であれば政治資金規正法違反やあっせん利得処罰法違反の罪に問われる可能性がある。

 多額の現金が絡んでいるというのに「記憶があいまい」とする甘利氏の釈明は理解に苦しむ。進退論も浮上している。速やかに調査を行い、疑問のすべてに答えるべきだ。