宜野湾市長選は24日投開票され、現職の佐喜真淳氏(51)=自民、公明推薦=が元県幹部で翁長雄志知事や県政与党の支援を受けた新人の志村恵一郎氏(63)に5800票余りの大差をつけ、再選を果たした。

 予想を超える差がついたのはなぜか。市長選は米軍普天間飛行場の返還問題が最大の争点だったが、佐喜真氏は普天間の移設先である「辺野古」の是非には一切言及しなかった。普天間の「固定化を許さない」と主張し、返還合意から20年たっても返還が実現していないことに対する市民のいらだちを代弁した。

 志村氏が「辺野古新基地建設反対」を前面に打ち出したことから、争点は最後までかみ合わず、地元の要望に即した公約を掲げた佐喜真氏に票が流れた。辺野古移設の是非の争点化を巧妙に回避したことが奏功したといえそうだ。

 2014年の名護市長選と違って公明党が全面支援し、自公体制がフル稼働したことも大きかった。

 安倍政権は宜野湾市長選を夏の参院選と並ぶ重要選挙と位置付け、国政選挙並みの態勢で佐喜真氏を支援した。

 ディズニーリゾート施設の誘致支援や普天間の一部先行返還、西普天間地区の跡地利用推進のための交付金新設-などは佐喜真氏の実績づくりの後押しである。

 中央から乗り込んだと反発を招かないように表に出ることを控え、水面下で医療や農業など職域団体の支持を受ける比例代表選出の国会議員らが票固めに動いた。

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 志村陣営は候補者決定が大幅に遅れ、志村氏に決まった後も司令塔の不在で昨年12月下旬まで選挙になっていなかった。志村氏は選挙戦術を誤ったのではないか。辺野古移設反対を前面に出しすぎたため、市民の身近な関心事に応える姿勢が弱かった。選挙後半になってその事実に気づき、選挙戦術を変えたが、時すでに遅しで、有権者に浸透させることができなかった。

 志村氏が無党派層に十分食い込めなかったのはその辺りの事情を物語る。知名度の低さも挽回できなかった。

 佐喜真氏の再選で政府、与党は沖縄の直近の民意は辺野古新基地を容認した、と宣伝するかもしれないが、佐喜真氏の再選で辺野古移設が支持を得たとまでは言えない。

 佐喜真氏を推薦した公明党県本部幹部が「民意が辺野古容認であるとは受け止めてほしくない」「結果を辺野古の賛否に直結させるべきではない」と選挙前のインタビューで語っている通りである。

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 選挙が終わった途端に、佐喜真氏が辺野古移設を容認するような発言をすれば、有権者を軽んじたことになり、政治不信を高める。公約の着実な実行を期待したい。

 敗れた志村陣営は終始、「翁長頼み」の選挙だった。今回の選挙で明らかになったのは革新政党の地盤沈下、足腰の弱さである。

 翁長知事の新基地建設反対の姿勢に変化はないが、志村氏を推した翁長知事や県政与党は夏の県議選、参院選に向け態勢を再構築する必要に迫られている。