国立沖縄工業高等専門学校(安藤安則校長)は、同校が開発した瞬間的高圧処理装置で岩手県産の「北限のゆず」に高圧をかけ、香り成分や機能性成分などを効率よく抽出する実験に成功した。高圧処理せずに搾った場合に比べ、銅や鉄などの成分が29・8倍、香り成分が10・7倍に増えるなど、かんきつ果汁の高付加価値化が確認された。同じ仕組みの実験機を使ってシークヮーサー果汁についても研究を進めている。(政経部・新垣卓也)

瞬間的高圧処理装置の仕組み

 同校が開発したのは、ステンレス製の容器の中で3500ボルトの電気を電極に流して水中放電し、音速を超える速さの衝撃波を発生させて物質に1千気圧の圧力をかける技術。物質を貫通する波と物質内で反射する波が引っ張り合うことで細胞壁の破壊作用を起こす仕組み。

 雑味のもととなる種が多いユズやシークヮーサーなどの場合、従来の搾汁方法では種をつぶさないように搾るため、成分が十分に抽出されない。高圧処理を施して搾汁することで、種をつぶさず効率的に成分を取り出すことができるという。

 沖縄高専は北限のゆずを使い、高圧処理後に搾った果汁と処理しないで搾った果汁の成分を比較。果汁100ミリリットルに含まれる銅や鉄などの成分が未処理と比べて約29・8倍、カルシウムは1・92倍、マグネシウムは1・28倍に増えた。

 ポリフェノール量も37・5%多くなり、香り成分の含有量は10・7倍に。美白作用のあるナリルチンや痛みを抑える効果があるリモニンなど機能性成分の総含有量も22・5%増加した。

 沖縄高専は2013年度、岩手県や宮城県など東日本大震災の被災地の復興を目的とした農林水産省の事業に採択され、岩手の企業などと連携し、処理装置を使ったユズ果汁の付加価値化に関する実証研究を開始。

 本年度が事業の最終年度で、現在、岩手県二戸市の酒造会社「南部美人」などと連携し、高圧処理した北限のゆずを使いリキュールの開発を進めている。3月末に札幌市で開かれる日本農芸化学会で研究成果を報告する。

 衝撃波に関する研究の第一人者である伊東繁名誉教授は「技術を生かして県産果実の機能を最大限に引き出し、ブランド化を目指す」と述べ、シークヮーサー果汁の高付加価値化にも意欲を見せている。