中高年を中心に、自身の人生経験を一冊の本にする自分史がじわり人気だ。県内でも自分史の書き方講座が開催されているほか、最近では書くのが苦手な人に代わってプロが執筆するサービスも登場した。あなたも半生や家族の物語を記録に残してみませんか-。(学芸部・湧田ちひろ)

自分史講座で、講師の宜寿次政江さん(左)から書き方のアドバイスを受ける受講者=那覇市・桜坂劇場

 浦添市の池間美代さん(68)はこのほど、自分史「狩俣の娘」を千部出版した。宮古島の狩俣出身で、島の人々との思い出や、本島移住後の喫茶店や美容サロンの立ち上げ、地域活動、子育ての経験を書いた。

 40年余り、日記を書き続けている池間さん。「日常の悲しみや悩みを書くことで癒やされてきた。ずっと本を出版したいと思っていた。本はこれまでの私自身の努力のたまもの」と笑顔で話す。

 出版後には予想外の反響もあり、知人との交流が再開するきっかけにもなった。「同級生からも連絡があって、書いて本当に良かった。お世話になった人たちに本をプレゼントしたい」。来月7日には、郷友会や親族が集い、記念祝賀会を開く予定だ。

▽書き方手ほどき

 那覇市の桜坂劇場では毎週、「桜坂市民大学」の一環で自分史講座が開催されている。沖縄自分史センターの宜寿次政江さん(38)が講師を務め、原稿の添削や、書くために必要な作業を伝えながら、自分史の完成を目指す。

 那覇市の伊仲千賀子さん(48)は、義母の記録を残したいと考えて参加した。那覇で生まれ育ち、戦禍をくぐった義母の話を7年前から書き留めてきた。「お茶を飲みながら聞いた話がとても面白くて、残したいと思った。最終的には家系図を作ることも目的」と動機を語る。

 宜寿次さんは「本人が書くのではなく、子どもたちが親に聞き取りながら出版するケースも結構ある。編集者が支援するので、まずは気軽に書き始めてほしい」と話した。

 同センターの大石直樹社長は、県内の「自分史」出版状況について「以前は戦争などの強烈な体験を自身で書く人が主だったが、最近は戦後生まれの方が旅行記やエッセー、短歌・詩集を出版するケースも増えている」と説明する。

▽平均50万~200万円

 出版費用はページ数や発行部数によるが、平均50万~200万円ほどかかるという。大石社長は「自分史づくりで最も大切になるのが家族の協力。出費への理解や、執筆の際にも家族への聞き取りが必要なので、事前に確認したほうがいい」とアドバイスした。

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■沖縄タイムス社も自分史を手助け

 沖縄タイムス社でも、新聞社ならではの自分史製作を手助けするサービスを実施している。予算や内容に合わせて、定期的に講義を受けるコースや、編集者がマンツーマンで指導したり、元記者が本人に取材して執筆するコースが選べる。問い合わせは文化事業局出版部、電話098(860)3591。