宜野湾市長選が終わったとたん、これである。

 防衛省は、名護市辺野古の埋め立て工事を加速するため、関連業務に携わる幹部ポストを一挙に三つ増やすことを明らかにした。審議官と参事官(課長級)を一つずつ増やすほか、沖縄防衛局の次長を1人増やして2人制とする計画だ。本省と防衛局の担当職員も増員する。

 宜野湾市長選で当選した現職の佐喜真淳氏は期間中、「辺野古移設の是非」を一切語らず、「移設の是非」を問う選挙にはならなかった。そのような事情を無視して選挙直後に強硬姿勢を打ち出すのは、あまりに乱暴だ。

 県知事や地元名護市長の意向を無視して工事を強行するのも、県知事を訴えるのも、地方自治と民主主義を軽んじる異常な対応である。これ以上、強硬策を重ねてはならない。

 辺野古だけではない。中谷元・防衛相は、31日に航空自衛隊那覇基地に第9航空団を新設することを正式に明らかにした。空自のF15戦闘機部隊は倍増され、2個飛行隊約40機体制になる。

 嘉手納基地よりも南の都市部の米軍基地を返還する見返りに日米両政府が進めているのは、新基地建設による中北部への拠点集約化であり、それと並行して進めているのが自衛隊の増強計画である。

 嘉手納基地にはF22ステルス戦闘機が一時配備された。 横田基地に配備予定のCV22オスプレイの沖縄での訓練も予定されている。

 この現実を「負担軽減」と呼ぶことはできない。

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 辺野古への新基地建設も自衛隊の増強計画も、中国の軍備増強と海洋進出をにらんだ措置、だと説明されている。

 集団的自衛権の行使をうたった安保法や、日米共同作戦計画の策定を盛り込んだ日米新ガイドラインによって「抑止力が高まる」と政府は説明する。ほんとうにそうなのだろうか。

 抑止力は魔法の言葉だ。抑止力が高まるかどうかは、それを正確に計測したり証明したりすることができない。自衛隊が宮古島などにミサイル部隊を配備すれば、中国も対抗措置をエスカレートさせるおそれがある。

 そもそもこうした計画は、沖縄の戦場化を想定しているにもかかわらず、そこに住む人々の「人間の安全保障」が考慮されていない。

 米海兵隊はもともと尖閣防衛を想定していない。離島防衛は自衛隊が主体的に実施することが日米で確認されている。辺野古が「唯一の選択肢」だという主張は崩れつつある。

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 那覇空港では昨年6月、那覇基地のCH47ヘリと民間機2機がからんだ離着陸トラブルがあった。

 航空貨物便の増加や自衛隊機によるスクランブルの増加などで、那覇空港は全国的に見ても過密である。第2滑走路が完成するのは、2019年度。工事の完了を待たずにF15戦闘機を倍増させるのは、過密を承知でさらなる過密化を進めるようなものだ。

 優先すべきは安全への配慮である。