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  • 北谷浄水場汚染で米軍が嘉手納基地住民に「水は安全」と通知
  • 「安全性に県も合意」というが、担当部局は「覚えはない」と否定
  • 環境NGOは「基地内住民にも汚染源の可能性を伝えるべきだ」

 北谷浄水場の水源などから残留性有機汚染物質のフッ素化合物PFOS(ピーホス)が高濃度検出された問題で、米太平洋空軍は27日までに、同浄水場から給水を受ける嘉手納空軍基地内の住民に「水道水は安全だ」と宣言する案内通知を出した。安全性について浄水場を管理する沖縄県企業局と「合意(agree)した」と記しているが、県側は「その覚えはない」と関与を否定した。

米太平洋空軍が基地内に向けて出したPFOS汚染の「安全宣言」通知文書

PFOS汚染に対する米軍発表と県側認識

米太平洋空軍が基地内に向けて出したPFOS汚染の「安全宣言」通知文書 PFOS汚染に対する米軍発表と県側認識

 通知は24日付。嘉手納基地内に住む住民向けの水質調査報告サイトで公開した。県企業局によると、水道水の安全性をめぐって県と米軍が話し合った事実もなく、米軍側の一方的な「安全宣言」に波紋が広がりそうだ。

 米太平洋空軍は通知で、県企業局が河川や嘉手納基地周辺から高濃度のピーホスを検出した経緯に触れて「米国環境保護庁の水道水の暫定健康勧告値(1リットル当たり200ナノグラム)を十分下回っている」と説明。

 ピーホス濃度の低減に向けて県側との連携体制を強調した上で「県企業局と嘉手納基地の専門家は、北谷浄水場から給水される水は飲んでも安全であることに合意した」「水道水は安全だと保証する」などと安全性を訴えている。

 ただ一方で、県企業局の平良敏昭局長は沖縄タイムスの取材に「何も合意していない」と明言。県側と米軍は直接連絡を取っておらず、合意事項はないという。

 米軍が通知で「北谷浄水場はピーホス除去に有効な活性炭を使用している」と説明していることにも、平良局長は「活性炭での除去にも限度がある。高濃度の嘉手納基地の排水を改善しなければ、根本的な解決にはならない」と指摘。「合意」の件と合わせ「沖縄防衛局を通じて米側の認識を確認したい」とした。

■環境NGO「影響矮小化」

 北谷浄水場のPFOS(ピーホス)検出問題で、環境NGOの沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は27日、米軍と県企業局の発表内容を照らし合わせた検証結果を発表した。汚染源が嘉手納基地内である可能性に触れず、米軍が基地内に汚染の実態を正しく伝えていないとして「影響を矮小(わいしょう)化している」と指摘した。

 沖縄BDによると、県企業局の発表事項にもかかわらず、米軍が基地内向けに発表しなかったのは(1)基地排水から高濃度が検出されており、嘉手納基地内に汚染源がある可能性が高いこと(2)米国の要報告濃度基準(1リットル当たり40ナノグラム)を上回ったこと-など。

 ピーホスが国際条約で使用や製造が制限された残留性有機汚染物質であることにも触れず、日用品などで日常的に用いられることを強調。工場や空軍で使う泡消火剤にも存在するとした。比較可能な他地域の濃度や、高濃度を示す一次データも示していない。

 沖縄BDの河村雅美共同代表は「基地内に安易な安全宣言をする米軍の手法は沖縄市サッカー場のドラム缶汚染の時と同じ」と指摘。基地内の住民も汚染にさらされている可能性を基地内コミュニティーに正しく伝えることが「米軍側の倫理・責任感の欠如を正すために重要だ」と訴えた。