沖縄県内ではしかの感染が広がっている。4年ぶりとなる発生は海外観光客から始まり、20~40代の発症が多いのが特徴だ。医療や保健行政の現場からは、子どもに加え、成人の予防接種率の向上や水際対策の重要性を訴える声が上がる。(社会部・石川亮太、新垣綾子)

沖縄県内のはしか患者発生状況

目立つ20~40代の発症

 県の「はしか“0”プロジェクト委員会」委員の知念正雄医師は、20~40代の患者が目立つ状況に「この年代の幼少期のワクチン接種率は全国的に悪く、それが積み重なった結果ではないか」とみる。

 直近3年間の国内での感染拡大は海外から持ち込まれたケースばかりだ。今回の発生源も台湾人観光客で「観光施設や空港、飲食店などで働く人は感染症への認識を高め、積極的にワクチン接種を」と強調。水際対策も重要とし「誘客キャンペーンなどの際に、旅行前の接種を促す取り組みを強化してほしい」と望む。

 2016年度のはしかの定期予防接種の県内接種率は、第1期の1~2歳で95・2%と全国平均より2ポイント低く、第2期の小学校入学前は89・8%で全国最低。定期接種の実施主体である市町村の危機感も強く、うるま市こども健康課の濱比嘉由美子課長は「流行の終息には、より多くの県民が予防接種を受けることが最善策」と強調する。

9人の子どもが死亡

 予防接種事業が「義務」から「勧奨」に、「集団」から「個別」に変わった後の1998~2001年、県内では延べ約3600人がはしかに感染し、9人の子が死亡するなど流行を繰り返した。

 濱比嘉課長は当時、旧具志川市の保健師。子どもが脳炎や肺炎などの合併症で命の危険にさらされた母親、妊娠後期にかかって重症化した女性らに接し「涙ながらに未接種を後悔する姿が、私たちの仕事の原動力」と言う。

 同課は現在、法定の定期接種に該当しない子どもも、無料接種が可能な市独自の取り組みをPR。「接種は本人だけの問題ではなく、周囲の妊婦や乳児を守ることにつながることを継続して呼び掛けていきたい」と話した。

 那覇市内の認可保育園の職員も感染の動向を注視。園内の対策として、定期接種対象外の1歳未満児とそれ以上の園児のフロアを分けることや、こまめな備品の消毒・換気などを挙げる。

 現時点で1歳以上の園児約90人中、未接種は1人だけだが「1人でもいるのは課題。強制はできないので、子どもの集団生活に対する親御さんのモラルに訴えている」と語った。