STAP細胞の論文著者だった理化学研究所の元研究員、小保方晴子氏が28日に出版した手記『あの日』(講談社)は「あの日に戻れるよ、神様に言われたら、(中略)いつからやり直せば、この一連の騒動を起こすことがなかったのか」と書き出す

 ▼理研退職後、まとまった主張をするのは初めて。「口をつぐみ、世間が忘れていくのを待つことは、卑怯(ひきょう)な逃げである」と執筆を決意した

 ▼論文について「だまそうとして図表を作成」していないと否定し、「心から反省し恥じています」と謝罪している。一方で、研究を指導した大学教授の責任を強調、「仕掛けられたわな」と不信感を示す

 ▼手記が出版された日のちょうど2年前の2014年1月28日、小保方氏は「STAP細胞」を生み出したことを発表した。ノーベル賞級の世紀の大発見として世界中から注目された。研究中のかっぽう着も話題となった

 ▼「時の人」と輝いた時間は長くはなかった。発表から約1カ月でデータ改ざんなどの疑惑が浮上。理研などの検証を経て、研究不正とされ、論文は取り下げられた

 ▼騒動過熱で、小保方氏は精神的、肉体的に追い詰められ、「死にたい」と周囲に漏らした。「リケジョの星」の個人的な転落劇で済まさずに、「STAP細胞」問題は何だったのかと問い続けることが大切だ。(与那原良彦)