翁長雄志知事と稲嶺進名護市長の証人尋問が決まり、突然、和解勧告案が示された29日の代執行訴訟の第3回口頭弁論。和解勧告という想定外の事態に県側のみならず、傍聴人も驚いて言葉を失った。裁判所の指示で詳細な説明は見送られた。受け入れるかどうかについて、翁長雄志知事も「まったくの白紙だ」との答えにとどめ、さまざまに意見をあおぐ姿勢も見せた。    

第3回口頭弁論の開廷を待つ翁長雄志知事(左)=29日午後、福岡高等裁判所那覇支部(代表撮影)

 「証人の採否についてです」。口頭弁論の中盤、多見谷寿郎裁判長が、この日注目の証人の採否についてやりとりを始めると、県側の弁護団は身を乗り出し法廷に緊張が走った。

 「陳述書の内容で済む人もいます」と採否の考え方が示されると、県側の弁護士は「単なる書面ではなく、証人をぜひ採用していただきたい」と主張。それでも、認められたのは翁長知事と稲嶺市長の2人だけとなり、次回と次々回の期日を決めた。

 その直後だった。多見谷裁判長が「和解を勧告いたします」と短く述べて閉廷を宣言。予想しない言葉に、傍聴席の報道陣の一部は、閉廷時の起立を忘れるほど驚きに包まれた。

 同日夕方、県庁で報道陣の取材に応じた翁長知事は、準備したペーパーをゆっくりと読み上げ、証人の採用について「私だけでなく、名護市長の尋問も認めていただいたことは高く評価しています」と話した。尋問では、承認取り消しの適法性とともに、県が歩んできた歴史について述べる考えを説明。

 報道陣の質問は、大半が和解案に集まった。翁長知事は、硬い表情を崩さず、今後、弁護士をはじめとする関係者と相談する考えを示しながら語った。「個人的に整理できていない。和解についての考えは心に持っていない」