県内で、はしかの感染が広がっている。4日現在で患者は21人となり、県は患者発生状況を最高レベルの「3」とした。2003年はしか対応ガイドラインを施行後、初めての事態だ。

 県は、無料で受けられる定期予防接種対象の1~2歳と5~7歳の小学校入学前での確実な接種を呼び掛ける。加えて、県内の生後6カ月~1歳未満(対象者8500人)が、6月までにはしかの予防接種を受けた場合、費用の一部を補助する方針を決めた。

 はしかは幼い子どもほど重症化しやすく、脳炎など合併症の発症率は3割ともいわれている。乳児予防接種の公費補助は、子どもたちの命を守る策であり歓迎したい。

 乳幼児期の定期予防接種率の向上や患者の全数把握による封じ込めにより、県内では05年に「はしか患者ゼロ」を達成した。それ以降の流行は、県外からの移入によるものがほとんどだ。

 06年には、東京で研修を受けた学生が県内に戻り発症、家庭内や病院で接触した11人に感染した。翌07年は東京出張した男性が帰県後に発症したほか、関東地方から帰省中の女性が八重山で発症し、県全域で100人以上に感染が広がった。

 今回の初めて罹患(りかん)が分かったケースも、3月下旬に台湾から沖縄本島へ観光で訪れた30代男性だった。県によると、男性が発熱したのは3月14日。3日後の17日から沖縄本島各地を旅行し、20日に県内で罹患が確認されている。はしかは、この男性から移入された可能性が高い。

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 はしかの感染力は非常に強い。患者たちの行動履歴調査からは、男性が訪れた那覇市内のホテルや大型商業施設、中部地区の飲食店で感染が拡大したことが分かる。患者6人が、サービス業従事者や同じ施設の利用者として男性と接触していた。別の患者6人の接触は確認できなかったものの、男性が訪れた施設内にいたことが分かっている。

 近年の観光客数の増加により県は、はしかなど感染症の移入に神経をとがらせる。昨年は観光業に関わる人向けの会議を開き、予防接種の必要性を訴えた。

 しかし、今回発症した21人のうち15人が、20~40代の成人だった事実からは、成人の接種が進んでいない現状が浮き彫りとなった形だ。はしかの予防接種は2回必要で、成人の場合は単独ワクチンで1回約5千円、風疹との混合ワクチンだと1回約1万円と高額なことも、接種の壁となっている可能性がある。

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 成人のはしか感染の課題の一つは、成人から子どもへの感染だ。1998~99年と2001年に県内で発生した大流行では、数千人が感染した結果、乳幼児9人が死亡した。全国に先駆けた沖縄の「ゼロ」達成は、尊い命の教訓が基にあることを忘れてはならない。

 観光立県をうたう県は、移入源となり得る国・地域への啓発に力を入れてほしい。同時に、県内で暮らす大人一人一人が予防接種に関心を持ち、接種環境を高めていく工夫も必要だ。