エンドロールを眺めながら苦い後味をかみしめた。それは、長い張り込み取材の後に少し似ていた

▼米軍の最新鋭ミサイル配備の時がそうだった。昼も夜も現場で待ち続け疲労が重なると、とにかく終わってほしいという気持ちが募る。例え県民の反対を押し切って配備されるという望まない結末でも

▼映画「人魚に会える日。」で仲村颯悟(りゅうご)監督(20)がテーマに選んだのは辺野古の新基地建設。その過程、つまり私たちの日常は疲労と呼ぶにはあまりに苦痛に満ちた反対と容認のぶつかり合い、その繰り返しだ

▼劇中の高校生は言った。「終わるんなら、それでいいよ」。出演したCoccoさんはメッセージも寄せた。「もう20年が経(た)つというのに私はその戦いを終わらせることができず、挙げ句、あの頃生まれた子供たちがまだ同じ問題と戦っているのをこうして目撃している有様(ありさま)だ」

▼容認や無関心という人の言葉の隙間には「基地を造ってもいい、とにかく騒ぎを終わらせてほしい」という願いがある。反対の人も、終わらせたいと願っている

▼両方を愛するからこそ、争いの日常が耐え難いのだろう。沖縄の監督でなければ撮れない、撮らなければならなかった作品は今月、上映が始まる。県民の心にどんな波紋を残すだろうか。傍観してきた本土の人にSOSは届くだろうか。(阿部岳)