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  • 全国的に注目を集めた宜野湾市長選を取材記者たちが振り返った
  • 佐喜真氏の「フェンスを取っ払う」は市民に響きやすかった
  • 志村氏は「辺野古」と知事に頼りきりで、候補者の顔を浸透できず

 2014年以降、米軍普天間飛行場が一大争点となる初の注目選挙だった沖縄県宜野湾市長選で、現職の佐喜真淳氏が「オール沖縄」候補の志村恵一郎氏を大差で下し再選された。その背景や両陣営の戦略、今後の普天間問題への影響などを取材記者たちが語り合った。(出席者=中部報道部・前田高敬、仲田佳史、仲間勇哉、政経部・銘苅一哲)

2期目の当選が確実となり、支持者と万歳三唱をする佐喜真淳氏(中央)=24日午後、宜野湾市野嵩の選対事務所

【佐喜真陣営】素早い対応 強み生かす

 A 佐喜真氏の勝利は予想外の大差だった。

 D 陣営幹部は、相手が志村氏と分かった時点で志村氏と縁のある本部郷友会や県土建部OB、志村氏の住む普天間地域の対策を取ったと言っていたよ。素早い対応には驚いた。

 A 候補本人も含め地域を地道に回るどぶ板選挙に徹し票を掘り起こしていた印象だ。その分、報道陣からは「佐喜真氏の写真や映像が撮れない」と不満も多かったほどだ。

 D 投票相手をまだ決めていない世帯リストもつくっていたものね。

 C それが市の南側など若者が多く比較的革新寄りな地域で6ポイント前後も投票率が上がったのに志村氏有利とならなかった原因か。

 B 市民の多くが市外に勤めている点に着目した自民党や政府は、那覇の本土大手企業支社などに宜野湾市民のリストアップも要請していた。「相手の優位を消し自分の強さを生かす」お手本のような取り組みだったね。

【志村陣営】「辺野古」偏重に抵抗感

 A 志村氏陣営の取り組みはどうだった?

 C 「翁長雄志知事と辺野古反対に頼りきりで、志村氏の顔を浸透できなかった」(選対関係者)という反省の声が聞かれた。

 D 「オール沖縄」の選挙で市選出の呉屋宏県議支持の保守層や民間企業にまで支持が広がった分、「勝てる」という気持ちが運動の上滑りを招いた形だ。

 B 翁長知事は自民党県連幹事長だったころ自公体制を築いた立役者だけに、公明の動きを警戒し期日前投票に注力するようくぎを刺していた。関係者は「期日前に力を入れすぎて投票当日の動きがにぶくなったかも」と勝負どころを設定する難しさも話していた。

 A 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前での新基地建設抗議活動と連動したのも不利に働いたかもね。「なぜ宜野湾の選挙に名護の話が出てくるんだ」という理屈抜きの抵抗感を市民に与え「活動が派手な分、地道な集票活動の抜けが見えなくなった」(陣営幹部)のは否定できない。

【普天間問題】真価問われる知事

 C その普天間問題で今後の影響はどうだろう。

 A 選挙前、山口県岩国市議会の議長らが普天間の5年以内の運用停止に向け全国で負担を分かち合うべきだとの動きを始めた。今後の動きを注視したい。

 D 佐喜真氏の「フェンスを取っ払う」は市民により響きやすかったし、志村陣営は最終盤で「爆音をなくす」とイメージが返還と結びつきにくい主張を始め訴えがちぐはぐに。志村陣営の戦術ミスだよ。

 B 沖縄タイムスなどの投票日の出口調査で「辺野古反対」57%のうち4分の1が佐喜真氏に投票したのを見ても、今回の結果はやはり辺野古移設容認ではないと言わざるを得ない。

 C いずれにせよ今後の県議選、参院選ではあらためて「オール沖縄」と翁長知事の真価が試されるね。