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  • 沖縄高専の建物は米軍が設定する建造物の高さ制限を上回っている
  • 防衛局は米軍基準に基づき設計・着工したが、高専側に説明はない
  • 専門家は「事前調査を尽くしたのか? 安全確保できるのか疑問」

防衛局、説明せず着工

 沖縄県名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)の校舎が、辺野古新基地の周辺に設定される建造物高さ制限を超えていることが分かった。米軍基準で危険とされる空間に、もともとあった高専が取り込まれることになるが、沖縄防衛局は高専側に説明しないまま着工した。本紙取材に対し、防衛局、在沖米海兵隊ともに事実関係の確認を避けた。(北部報道部・阿部岳)

名護市辺野古にある国立沖縄工業高等専門学校。手前の建物が学生寮、左奥が校舎。右奥は米軍キャンプ・シュワブの施設=8日(小型無人機で撮影)

辺野古新基地の制限表面

名護市辺野古にある国立沖縄工業高等専門学校。手前の建物が学生寮、左奥が校舎。右奥は米軍キャンプ・シュワブの施設=8日(小型無人機で撮影) 辺野古新基地の制限表面

 飛行場周辺には建造物の高さの上限となる「制限表面」という面が複数設定され、空間を区切っている。航空機が安全に離着陸するため、制限表面より上は障害物がない状態にしている。

 米国防総省策定の基準によると、8種類ある制限表面のうち「水平表面」は滑走路の周囲2286メートル。高さは辺野古新基地の場合、標高約55メートルになる。

 沖縄高専は高台にあり、最も高い校舎「創造・実践棟」は標高約70メートル。815人の学生のうち552人が暮らす学生寮も約59メートルあり、主要な建物は全て水平表面の上に出てしまう。

 高専によると、工事が始まっている現時点でも防衛局からの説明はない。高専の担当者は「学校が後からできたわけではないので対応のしようがない。校長が3月、他の大学長と連名で発表したように、学校周辺での米軍機飛行中止を求めていく」と述べた。

 防衛局は米軍基準に基づいて新基地を設計しており、内容を把握している。高専の高さ制限超過について尋ねる本紙取材に、「米側や関係機関とさまざまな協議や調整をしているが、相手方もあることから具体的な答えは差し控える」とコメントしなかった。

 在沖米海兵隊報道部も「全ての事項について日本政府と緊密に連携している」とだけ答えた。

「安全確保に疑問」航空評論家・青木謙知氏の話

 米軍普天間飛行場の危険性を除去するために造る新しい飛行場で、なぜ学校の建物が制限表面に抵触するようなことが起きるのか。事前の調査を尽くしたのか。安全を確保できるのか疑問だ。

 このまま建設計画が変わらないとすれば、学校上空を通らないように離着陸経路を設定するくらいしか方法がない。それも米軍が守る保障はなく、軍事上必要な飛行と言われれば日本政府も反論できない。

 制限表面の上に出る建造物を例外的に認めることは福岡空港でもあった。ただ、これはあくまで例外で、しかも飛行場が先にある。辺野古は後から飛行場ができるのに例外を作るというのはおかしな話で、根本的な解決にはならない。

【ことば】米軍の飛行場設置基準

 滑走路や管制塔の仕様について、米国防総省の統一施設基準書「飛行場・ヘリポートの計画と設計」(UFC3-260-01)=2008年11月更新=が詳細に定める。建造物の高さ上限となる制限表面は8種類。このうち水平表面は、滑走路から2286メートル(7500フィート)の範囲に設定される。