沖縄の「基地問題」が大きく変わりつつある。日米同盟の「血の同盟化」と「沖縄の要塞(ようさい)化」が、相互に関連しながら同時に進んでいる。復帰後最大の、基地をめぐる構造変化、と言っていい。

 1960年の安保国会で岸信介首相は、自衛隊が「この領土外において実力を行使することはありえないという建前を厳守すべきことは、日本の憲法の特質でございます」と答弁した(前田哲男『三つの同盟と三つのガイドライン(中)』)。

 訪米した鈴木善幸首相が日米共同声明に盛り込まれた「同盟関係」という言葉について、「軍事的意味合いは持っていない」と説明し、物議を醸したのは81年のことである。同盟という言葉が当たり前のように使われるようになったのはそんなに古い話ではない。

 憲法も安保条約も変わっていないのに、日米同盟を一気に変質させたのは、岸氏の孫の安倍晋三首相である。安倍首相は自民党幹事長時代、外交評論家の故岡崎久彦氏との対談で「軍事同盟というのは“血の同盟”です」と語り、日米安保の双務性を高めるためには集団的自衛権の行使が必要だと強調した(『この国を守る決意』)。

 集団的自衛権の行使を可能にした安保法の制定と、平時から有事までの切れ目のない共同対応を盛り込んだ新たな「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の策定は、まさに「血の同盟」を志向するものだ。その動きと連動して沖縄の「要塞化」が進んでいるのである。

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 航空自衛隊は南西地域の防空態勢を強化するため那覇基地の第83航空隊を廃止し、新たに第9航空団を編成した。

F15戦闘機が約40機に倍増される。

 与那国島には、航空機や艦船をレーダーで監視する第303沿岸監視隊(仮称)が配備される予定で、駐屯地建設が進んでいる。宮古島には地対空ミサイル部隊、地対艦ミサイル部隊、警備部隊を常駐させる計画だ。下地島空港の自衛隊利用の動きもある。石垣島にも宮古島同様、地対空ミサイル部隊、地対艦ミサイル部隊、警備部隊を配備する計画だ。

 中国をにらんだ空前の自衛隊増強計画である。

 安倍政権が名護市辺野古の新基地建設にこだわるのは、自衛隊増強計画とも無関係ではない。中北部の米軍基地の多くが、いずれ日米共同使用施設となり、陸・海・空を問わず至る所で共同訓練が進むはずである。

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 こうした動きが沖縄の負担軽減に逆行する日米一体化の動きであることは明らかだ。

 沖縄で「戦後レジーム(体制)からの脱却」といえば、敗戦と占領に伴う膨大な米軍基地群を大幅に減らすこと、基地の自由使用と基地特権を認めた地位協定を大幅に改めること、を指す。安倍政権が進めているのは、それとは真逆の「戦後レジームの固定化」というしかない。 

 沖縄の50年先、100年先を規定する重大な問題が、深い議論も検証もないまま、日米両政府の一方的なペースで進むのは極めて危うい。