名護市辺野古の高台にある国立沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)の校舎が辺野古新基地の周辺に設定される建造物の高さ制限を超えていることが明らかになった。

 米国防総省策定の飛行場設置基準によると、「水平表面」の制限は滑走路の周囲2286メートルで標高約55メートルである。

 沖縄高専の最も高い校舎は標高約70メートルで、学生寮も約59メートル。ほとんどの建物は制限の高さを超えてしまう。

 なぜこうなったのか。

 現行計画の前の案は沖合に出した軍民共用空港だった。同案では滑走路から辺野古集落までの距離は2・2キロ。水平表面の範囲とほぼ一致しており、この計画であれば高専の建物も高さ制限に引っかかることはなかった。

 辺野古沿岸部に2本のV字形滑走路を建設する現行計画になったのは2006年。

 名護市など地元は集落上空を飛行しないことや騒音対策などに重点を置いたが、政府は沿岸部に建設すれば米軍キャンプ・シュワブ内から工事を進めることが可能となり、抗議行動を封じ込めることができると考えた結果だった。

 新たに辺野古に建つ送電鉄塔13カ所も高さ制限を超えていることが分かった。防衛省沖縄防衛局は沖縄電力に移設を要請。沖電は基本設計を済ませ要請に応える方針だ。

 沖縄防衛局は設置基準に違反する事実を沖縄高専には説明しないまま新基地建設を強行している。沖縄高専が先に建設されていることを忘れてはならない。

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 防衛省は米軍基準に基づいて新基地を設計している。内容を把握しているにもかかわらず、防衛局は「相手方もあることから具体的な答えは差し控える」と言っている。新基地を使用する当事者である在沖米海兵隊も「日本政府と緊密に連携している」と木で鼻をくくったような回答をしている。防衛局も米軍も説明責任を果たしておらず、とても納得できない。

 設置基準に違反したままで工事を進めるのは学生や住民の生命・財産をないがしろにするものである。オスプレイなど軍用機が沖縄高専の上空や周辺の集落を飛行することが想定されるからだ。

 日本政府は当初、「V字形滑走路なら住宅の上を飛ばない」と説明していたが、日米合意は「緊急時や訓練の形でも例外的に飛行することはあり得る」である。日米両政府は普天間の危険性の除去を新基地建設の理由とするが、危険性の移転というほかない。

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 海域の地質調査では多くの軟弱地盤が見つかっている。特に深刻な場所は海底から約40メートルにわたって軟らかい砂や粘土が堆積し、専門家がマヨネーズに例えるほどである。地震を引き起こす活断層の存在も疑われている。安全への重大な懸念や環境に与える破壊的影響の危惧もある。

 防衛局は活断層かを判断する音波探査結果を公表せず、生態系に与える影響の徹底調査を求めても、高さ制限にしても懸念に応えることをしない。不誠実極まりない。工事を直ちに中止し、調査結果を公表し、環境調査を行い、今後の対応を明らかにすべきだ。