北朝鮮が8日から25日の間に地球観測衛星を打ち上げると国際機関に通告した。事実上の長距離弾道ミサイル発射実験とみられる。

 国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議は「弾道ミサイル技術を使った全ての発射」を禁じている。衛星打ち上げ用ロケットと、核弾頭などを搭載する長距離弾道ミサイルは、技術的には同じで、打ち上げは明らかな決議違反だ。

 東アジアの緊張を高める暴挙であり、国際社会への挑戦である。

 北朝鮮が通告したミサイルの経路は、沖縄の先島上空を通るとされる。住民が生活する島の上空を通過することを想像すると不気味さを覚える。部品落下の恐れもあり、住民に不安を与える行為だ。北朝鮮に中止を強く求める。

 ミサイル発射の狙いは何なのか。日米韓は米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発が真の目的だと警戒する。米本土に届く射程の長いミサイルを開発することで、自国の体制を脅かす米国を揺さぶる思惑があるようだ。

 2012年12月に発射されたミサイル「テポドン2号」改良型は、設計上の射程が米西海岸に届く約1万キロだったと推定される。それから3年余り。何らかの新たな技術を試し、攻撃能力の向上をアピールしたい意向もうかがえる。

 国内的には、故金正日総書記の生誕記念日「光明星節」が16日に控えている。5月には36年ぶりとなる朝鮮労働党大会も予定され、国民の士気高揚を狙う意図もあるとみられる。

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 北朝鮮の動向では、先月6日の「初の水爆実験」が記憶に新しい。唐突な4回目の核実験は、北朝鮮が核開発へ前のめりになっていることをまざまざと感じさせた。

 中谷元・防衛相は核実験直後に「北朝鮮が(ミサイル搭載に必要な)弾頭小型化の実現に至っている可能性も排除できない」との見解を示した。

 核弾頭とそれを搭載するミサイル。外交姿勢が不安定で場当たり的な北朝鮮が、双方の技術を高めれば「核兵器なき世界」は、さらに遠のく。

 北朝鮮の核実験に対する安保理の制裁決議をめぐっては、石油禁輸など厳しい内容を目指す米国に対し、中国が難色を示し、米中の攻防が長引いている。しかし、北朝鮮の核は中国にとっても脅威だ。日米韓に中国やロシアも加え、各国が協調・結束してこの動きを止めてもらいたい。日本は、安保理非常任理事国の立場も活用するなど多角的な対応が求められる。

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 ミサイル発射通告を受け、防衛省は12年に続き、飛行経路に近い石垣島と宮古島に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備を決めた。部品の落下に備え、警察庁は化学テロに対応する専門部隊の派遣も決定した。

 ただ、PAC3の射程は約20キロで、カバーできる範囲は限られる。配備は南西諸島への自衛隊増強の「地ならし」との見方もある。危機管理に万全を期すのは当然だが、一方で、冷静な受け止めも大事だ。