日本を含む環太平洋連携協定(TPP)の参加12カ国がニュージーランドで協定に署名した。協定発効に向け国会承認など国内手続きに入るという

 ▼農林水産業に携わる人たちから不安の声が後を絶たない協定である。徹底した秘密交渉で進んだ一方、大筋合意後も情報開示が不徹底な現状では、不安、懸念は無理からぬことであろう

 ▼政府は今国会中の承認を目指すという。「国家百年の計」というなら、時間をかけ国民の理解を得る必要がある。発効による影響も判然としなければ「対策」も不透明になるのは必然で、税の効果的な執行とはならないであろう

 ▼政権はTPPを成長戦略と位置づけ、承認案や予算案を通し、参院選を乗り切ろうと考えていよう。既成事実のみ積み重ねるやり方は、もうやめてもらいたい

 ▼発効には日米の批准が不可欠だが、肝心要の米国でも雲行きが怪しい。11月の大統領選までの批准は困難とされ、主な大統領候補は反対を表明している。先が見通せない中、日本だけが前のめりとなっているように映る

 ▼発効は早くて2018年以降といわれる。情報をきちんと開示し、議論を重ねる必要がある。国民の幸せのためなら、説明時間を惜しんではならない。選挙目当てで一手間を省いたため、「幸」の字が「辛」に変わってはどうしようもない。(宮城栄作)