名桜大学の学生2人が急病の韓国人男児を助けたとの本紙報道をきっかけに、現場で力になったもう一人の男性が見つかった。最初に異変に気付いて救急車を呼んだ金城貴裕さん(32)=名護市。ずっと金城さんを探していた男児の親族が、本紙の仲介で感謝の意を伝えた。互いに「また会いたい」と話し、新たな交流が生まれている。(北部報道部・阿部岳)

「当たり前のことをしただけ」と話す金城貴裕さん=名護市・新垣産業

親族8人で沖縄観光に訪れた車悆峻ちゃん(右から2人目)、伯母の車琇娟さん(左から2人目)ら=1月、北谷町(提供)

「当たり前のことをしただけ」と話す金城貴裕さん=名護市・新垣産業 親族8人で沖縄観光に訪れた車悆峻ちゃん(右から2人目)、伯母の車琇娟さん(左から2人目)ら=1月、北谷町(提供)

 今年1月5日、沖縄県名護市為又の県道。金城さんは仕事から帰宅する途中、急な動きで路肩に止まるレンタカーを見た。車外に出た男性が「ヘルプ!」と叫んでいる。車を止めて見に行くと、観光旅行中の車悆峻(チャソジュン)ちゃん(2)が意識を失っていた。

 すぐに救急車を呼んだ。救急車が行き過ぎると、雨の中、全力で追い掛けて誘導した。

 その後、名桜大看護学科2年の仲村由衣さん(21)、國吉愛加さん(21)も駆け付けて処置を始めたため、特に名乗ることもなく現場を後にした。

 男児の親族は学生2人と連絡先を交換していたため後日お礼ができたが、金城さんとは連絡が取れないままだった。

 その後、学生の救助を伝える本紙記事(2月7日付)を読んだ金城さんの勤め先、新垣産業の同僚が本紙に連絡。本紙が親族に紹介した。

 自身にも5歳の娘と3歳の息子がいる金城さんは「とにかく子どもが無事で良かった」と繰り返す。「自分も人の支えで仕事ができている。だから自然に人を助けることができたんだと思う」と語る。

 男児は発熱によるけいれんから回復し、無事に帰国した。伯母の車琇娟(チャスヨン)さん(32)は「外国でこれほど親切にしてもらえると思わなかった。日本の人々に感銘を受けた。絶対に忘れない」と本紙に答えた。金城さんへの感謝を込めて、朝鮮ニンジンのエキスなどを贈った。

 金城さんはお返しにシークヮーサーなど名護の特産品を送るつもりだ。

 「これも何かの縁。名護か韓国でまた会って、元気になった向こうの子とうちの子を遊ばせたい」と笑顔で語った。