昨年12月に県と辺野古住民ら21人が国土交通相の執行停止決定の取り消しを訴えて那覇地裁に提起した二つの取り消し訴訟の日程が決まらない。審理する裁判所を巡り原告と被告の主張が折り合わず、地裁も判断を決めかねているからだ。新基地工事を止めるため起こした緊急性の高い訴訟にもかかわらず口頭弁論の期日を定めない裁判所に不満も聞こえる。

 「訴訟の争点は『大臣の執行停止決定』の適法性。被告がいる東京地裁での審理が普通ではないか」と語るのは国の関係者。行政事件訴訟法12条1項では、取り消し訴訟は被告の所在地を管轄する裁判所が審理すると規定。国は同項などに基づき、国交相がいる東京地裁での審理を主張する。

 これに県側は県民の関心の高さなどを理由に那覇地裁での審理を訴える。土地や特定の場所に関わる処分の取り消し訴訟はその場所がある裁判所にも提起できるという同条2項などを根拠に反論する。

 県側の松永和宏弁護士は「提訴から2カ月たつのに期日が決まらないのは異常だ。いくら何でも遅すぎる」と不満を漏らす。春の人事異動や警備の都合などから、審理を遅らせたいのではといぶかしむ声も聞こえる。

 「弁論のたびに、県北部に住む住民が東京に行くのは負担が大き過ぎる」と指摘するのは住民側の白充弁護士。「国は東京でも那覇でも反訴(反論)することができ、不都合はないはずだ」と主張。当事者間の衡平をうたった民事訴訟法17条に違反すると訴える。

 専修大の白藤博行教授は、国の言い分も理があるとしながらも「工事が進む沖縄で審理するべきではないか」と語る。国の主張に基づくと、大臣が被告となる行政訴訟は全て東京でやることになると指摘。「地方自治体や国民から見て、裁判所が遠い存在となりかねない」と話した。