健康で長生きしたい、寝たきりにはなりたくないと誰しもが思うところですが、厚生労働省が出した2016年国民生活基礎調査によると、ほぼ寝たきり状態である要介護度5の第1位は脳卒中であり、その原因の約3割をしめるのは心原性脳梗塞を引き起こす心房細動です。心房細動は寝たきりの原因となる危険な不整脈ですが、無症候性心房細動といって症状が出ない割合も多いため、ある日突然、健康診断で見つかったり、脳梗塞になり初めて心房細動が発覚したりする場合も珍しくはありません。

 心房細動になると、心拍の規則性が完全に失われるため心臓内の血液によどみが生じ、血の塊(血栓)が形成されます。この血栓が血流に乗って脳の血管に詰まってしまうと脳梗塞になります。また心臓のポンプ機能が破綻するので心不全を発症することがあります。加えて発作性から持続性、永続性と進行していくため早期診断と治療が必要な不整脈に含まれます。誰でもどこでも異変を察知できる方法は“自分で脈をとること”です。脈が飛んだり乱れたり、速くてとりづらい場合は不整脈が疑われます。

 治療としては、脳梗塞予防のための血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)に加えて、動悸(どうき)・息切れといった胸部症状を緩和するための抗不整脈薬(脈のリズムを整える)などがありますが、患者様の状態によって処方内容は少しずつ変わってきますので専門医との相談が必要です。

 前記治療は心房細動と一生付き合っていく治療方法になりますが、根治療法として導入されているのが高周波カテーテルアブレーション治療です。

 カテーテルアブレーションは、太ももの付け根から、心臓内の不整脈を起こす患部までカテーテルを通し管の先端につけた電極で焼く治療です。

 生活習慣病をリスクとして発症する心房細動ですが、高齢になれば誰でも危険性がある病気です。早期発見し治療することで、寝たきりを防止し健康寿命を伸ばしましょう。(野村悠 中部徳洲会病院(循環器内科))