こんな時だからこそ立ち止まって考えたい。政府が「ミサイル」と呼ぶ物の正体は何だろう。北朝鮮は「人工衛星用ロケット」と主張している

▼2009年の発射直後は政府も「飛翔(ひしょう)体」という、分かりにくいが中立的な言葉を使っていた。その後なぜかミサイルに変わり、前回12年12月、そして今回の発射で人工衛星の地球周回が確認されても呼び方を変えない

▼先端に載せるのが弾頭か人工衛星かの違いで、技術的に共通点が多い。制止も聞かず、核実験を強行する国が打ち上げ技術を誇示するのは危険極まりない。その通りだが、衛星は衛星だ

▼宮古島市と石垣市への迎撃ミサイルPAC3配備はなぜか。軌道を計算できない破片には無効だと、専門家が繰り返し指摘している。万が一ミサイル本体が向かってきたら、射程わずか数十キロのPAC3は10セット以上なければ全県をカバーできない

▼危機の演出、自衛隊のPRという以外に説明できない。北朝鮮の暴走を利用している。今後、両国間で対立が深まった場合、北朝鮮だけでなく政府も事態をあおる可能性がある

▼やっかいな隣人が相手だとしても、常に事実に基づく冷静な議論が必要だ。パフォーマンスでなく、地道で実質的な努力を。携帯電話メールで「上空をミサイルが通過した」と告げられた者として、望みたい。(阿部岳)