春節の大型連休を利用して、中国や台湾など中華圏から多くの観光客が沖縄を訪れている。団体旅行から個人旅行へシフトし、「民泊」が広がっていることが、最近の特徴という。

 一般住宅やマンションの空き室をホテル代わりに使う民泊は、その土地ならではの雰囲気が味わえ、価格も手頃と人気だ。貸し出す側も空き部屋を有効活用できるメリットがあり、地域経済への波及効果も期待される。

 日本を訪れる外国人観光客が年間2千万人に迫る勢いで増える中、インターネットを使った仲介サイトの発達が民泊の流れを加速させている。

 世界192カ国で事業を展開する米国の「エアビーアンドビー」のサイトには、県内の300を超える物件が登録されている。県全体の民泊実数は把握されていないが、事業を展開する企業は複数あり、増加傾向にある。

 新しい宿泊形態が人気とはいえ、聞こえてくるのはなぜかトラブルばかり。本来、有料で繰り返し泊めるには旅館業法の営業許可が必要にもかかわらず、無許可営業が横行しているからだ。

 知らない人が出入りしセキュリティーに不安を覚えるというマンション居住者。近隣住民からは、ごみの未分別や騒音といった生活面での苦情も目立つ。

 ひとたび火事や地震が起きた時の対策など命に関わる問題、感染症予防などの課題も指摘される。

 法的な位置付けがあいまいなまま急速に増えてきただけに検討すべき課題が多い。

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 安倍晋三首相は、先月の施政方針演説で外国人観光客3千万人を目指し「民泊を拡大する規制改革を進める」と述べた。

 直前に厚生労働省と観光庁の有識者会議は、民泊を旅館業法の「簡易宿所」と位置付け、自治体による許可制とすることで一致している。4月の実施を目指すという。

 有識者会議の案は部屋面積の基準などを緩和するものだが、東京五輪・パラリンピックに向けてホテル不足の解消を急ぐあまり、急場しのぎの対策に見える。 

 そもそも匿名性の高いインターネットで仲介される無許可業者は実態把握が難しく、実効性が疑問視されている。

 既に走りだす東京都大田区や大阪府の国家戦略特区による民泊は旅館業法の適用除外とされ、外国人客の7日以上の滞在を条件としている。

 二つの民泊ルールをどのように理解すればいいのか。

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 県内では修学旅行生を一般家庭で受け入れるホームステイ型の民泊が盛んだ。農作業で汗を流し、料理を手伝うなど、体験や交流を重視した取り組みが喜ばれ、それがリピーターにもつながっている。

 民泊のルールづくりでは家主が部屋に居住し住宅の一部を貸し出すホームステイ型と、投資物件として空き室を活用するケースは分けて考えた方がいい。

 民泊成功の近道は、近隣住民が温かく迎える環境を整えることである。市民生活との調和を軸にルールを確立すべきだ。