あらためて異常事態だと感じる。わずか3カ月足らずの間に国が県を訴え、県も国を訴える裁判が計三つ。国と県のこんな関係は沖縄をおいてほかにない

▼言うまでもなく名護市辺野古の新基地建設をめぐる裁判のこと。建設反対派と賛成派の住民が、それぞれ国と県を訴えている訴訟も含めると六つになる

▼本来は基地を造るか、やめさせるかの至ってシンプルな主張のぶつかり合い。なのに原告と被告が入り乱れ、異なる請求のため裁判を一つにまとめられない。争われている行政手続きは複雑な上、ほぼ同時期に進行する。理解するのも一苦労だ

▼ややこしさは法廷のこまごまとしたところでも起きている。国と県がそれぞれ訴える二つの裁判が同じ日に続けて開かれ、時間短縮のため本来は決まっている原告と被告の席を入れ替えずに続行するらしい。最も厳密に規律を守る法廷では異例だ

▼国土交通相が被告の二つの裁判は、東京か那覇か開く場所さえ決まっていない。新基地建設を止めるために、住民や県が起こした緊急性のある訴訟である。作業が刻一刻と進んでいる地元の沖縄から遠く離れた裁判所では、県民の理解を得られるはずがない

▼「県民に寄り添う」のが信条の安倍晋三首相の下で複雑な争いごとが次々と起きているのはなぜか。これまた答えはシンプルだ。(与那嶺一枝)