あくまでも持論ですが、「若さとはそれだけでアートであり、才能である」と信じています。見た目5歳も変わらない女性に「おばちゃん」と呼ばれ、気を失いかけた夏の日、薄れ行く意識の中で走馬灯のように思った。相手が15歳の少女だったなら、美しい歌声だと思えたのに…。

「ゆれる人魚」

 物語の主人公は若く美しい人魚の姉妹。人間だと女子高生くらい。興味だけで陸に上がり、ナイトクラブで得意の歌とダンスを披露。一躍スターになった二人には秘密があった。実は彼女たちにとって人間は食料。食欲に負けて人間を食べた妹に対し、バンドマンと恋に落ちた姉。

 好奇心でのぞいた人間界は異文化の地。楽しいだけではない日常にもがく彼女たちは、まるで社会にもまれ、傷つきながら成長していく新入社員のよう。苦しむ姿も笑顔も、一瞬一瞬全てが美しい。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇桜坂劇場で23日から上映予定