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  • 子どもの貧困対策推進計画(2016~21年度)は34項目の目標値を設定
  • 自己責任でなく社会全体で貧困の連鎖を断ち切る方向性を打ち出す
  • 市町村・経済界・福祉団体などを組織化し、県民運動で改善を目指す

 沖縄県内の子どもの貧困率が全国平均1・8倍の29・9%と深刻化する中、県は8日、「県子どもの貧困対策推進計画」(仮称)の素案をまとめた。子どもの貧困を「克服すべき重要課題」と明確に位置付け、乳幼児から大学進学、さらにひとり親世帯の支援まで網羅した34項目の目標値を盛り込んだ。市町村や経済界、福祉団体などでつくる組織を6月に立ち上げ、県民運動での改善を目指す。計画は2016年度から21年度までの6年間。

 計画素案はA4判54ページ、5章で構成。県内の子どもの貧困の現状を明らかにした上で「自己責任ではなく、社会全体の問題として貧困の世代間連鎖を断ち切る」方向性を打ち出した。計画策定の趣旨や基本理念のほか、県調査を踏まえ、子どものライフステージに沿った重点施策を掲げた。

 6年後の目標値は、困窮家庭の小中学生に対し給食費や学用品代などを補助する就学援助の周知や児童生徒の不登校率の改善、高校・大学進学率の向上など。自治体の無料塾は現在の32市町村から全41市町村と県内すべてでの実施を目指し、2・5%ある中学卒業後の進路未決定者は全国平均並み(14年度は0・7%)に減らすとした。

 就学援助については、県調査で同制度を利用していない貧困層の2割が制度を「知らなかった」としたことを受け、素案では周知徹底を図り、目標値をゼロに。教育支援では、児童養護施設の退所者に対し給付型奨学金創設の検討も明記した。

 素案は翁長雄志知事をトップに関係部局長らでつくる県子どもの貧困対策推進会議が8日午後に承認。9日から3月8日までパブリックコメント(意見公募)を実施、寄せられた意見を踏まえた上で翁長知事が決定する。

■医療費「一時負担なし」 困窮世帯の子ども救済

 経済的な事情で医療費を一時負担できず、病院にかかれない困窮世帯の子どもを対象に、沖縄県が2016年秋から市町村と連携し、窓口の一時負担なしで診療を受けられる「貸付制度」の導入を検討していることが8日、分かった。

 現行の子ども医療費助成制度では少なくとも通院は就学前まで、入院は中学卒業前まで医療費の自己負担分が無料。ただし窓口でいったん自己負担分を支払い、後日銀行口座に振り込まれる「自動償還払い」が主流のため、診療をためらう困窮世帯の子どもの救済が課題だった。

 県は16年秋から順次、各市町村での導入を目指す。親が事前申請した上での利用が基本だが、緊急時にも対応できるよう検討を進めているとみられる。独自に子ども医療費助成の対象を拡大している自治体もあり、貸付制度の対象年齢も各市町村の助成基準に合わせたものになる見通し。(社会部・篠原知恵)