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  • 那覇市が県内で初めて困窮世帯に薬代を助成する制度を始める
  • 無料・低額診療制度があるが、院外処方の薬は対象外だった
  • 薬代が払えず診療を控える患者に「安心して治療を」と担当者

 生活苦で医療費が払えず、無料・低額診療(無低診)事業を受けている生活困窮世帯のために、那覇市が2016年度から、薬代の助成事業に乗り出すことが9日分かった。同様の事業は沖縄県内初。薬代が払えず病状を悪化させる患者を減らし、生活保護受給の手前にいる人々の救済を目指す。那覇市福祉政策課の當山忠彦主幹は「経済的に苦しくても生活保護を受けていない困窮世帯に安心して治療を続けてもらいたい。予算は小規模でも、救える人がいることを他市町村も知ってほしい」と話した。

那覇市役所

 現在、県内8カ所の病院や診療所が実施している無低診事業は、収入が生活保護基準の1・3倍以下の困窮世帯などを対象に、医療費を減免する。だが社会福祉法上、保険薬局など病院外で処方される薬代は対象外。診療は無料や低額でも、薬代が払えずに診療を控えざるを得ない患者は少なくなく、法制度の不備が指摘されていた。

 那覇市は16年度から、市内在住の無低診患者を対象に、薬代の窓口負担分を助成する事業を実施し、投薬を含め一体的に治療を受けられるようにする。重篤化を防ぐことで、長期的には生活保護受給世帯の抑制にもつながるとの考えだ。市内の対象者の実数がつかみにくいことから、県外の先進自治体の実績を参考に、来年度は当面の予算として55万円を盛り込んだ。

 薬代助成を求め患者ら4177筆の署名を集めた県民主医療機関連合会所属の保険薬局、沖縄健康企画の上原幸代代表取締役も「本来は国が制度改正すべきだが、健康や命の問題は待ったなし。他の市町村も続いてほしい」と訴えた。(社会部・篠原知恵)

 【ことば】無料・低額診療(無低診)事業 経済的な理由から医療費の支払いが難しい世帯を対象に医療費の減額や全額免除を行う社会福祉法にのっとった事業。一方で薬代は自己負担が必要。都道府県の認可を受けた医療機関が独自の基準で対象世帯を決める。県内の無低診患者は2014年度で1892人いた。