大きな災害が起きると、新聞社には読者から義援金が寄せられる。2年前の熊本地震のときも多くの人が中部支社を訪れ、小学生からは千羽鶴も添えられた。当時は記事にできなかった話もある

▼沖縄市内でギフト店を営む古謝源生さん(67)。グループ店の募金箱に役員らの寄付を加えて持ち寄ったことだけが短い記事になった。改めて話を聞くと、生活物資を送っていたことも知った

▼相手は20代のころ大阪で共に働き、同じ寮で過ごした40年来の友人。倒壊は免れたものの熊本市内の自宅は傾き、車内で生活していた。水道が使えると知り、インスタントコーヒーやレトルト食品を段ボールに詰め込んだ

▼行政の支援は時間がかかる。少しでも早く役に立ちたい。そんな思いにかられた。被災地への宅配に心配もあったが、自宅前の車で過ごす友人に実際に届いた

▼大津町の高校に通っていた当時2年生の渡口光彦さんは下宿先の天井が落ちた。一時帰郷し、母校の嘉手納中学校で状況を説明すると、後輩たちはすぐに寄付を集めた。熊本に戻って仮宿舎で食べた缶詰は感謝が身にしみた

▼「地震を経験したことで助け合う気持ちが強くなった」と渡口さん。北九州豪雨のときは助ける側へと動いた。支援とは相手の境遇を思い、少しでも寄り添うことだと実感する。(溝井洋輔)