財務省の事務方トップにセクハラ疑惑が浮上している。財務大臣が断言するように発言が事実なら即アウトだ。

 疑惑は「週刊新潮」が報じた。福田淳一事務次官が女性記者らを夜の飲食の席にたびたび呼び出し、セクハラ発言を繰り返していたとの内容だ。

 同誌のニュースサイトに、福田氏の発言とされる音声データも公開されている。

 森友学園問題を尋ねる女性記者に対し、男性が「抱きしめていい?」「予算通ったら浮気するか」「胸触っていい?」など、文字にするのもはばかられる言葉を発し続けている。

 この官僚トップのセクハラ疑惑に、麻生太郎財務相は「事実ならセクハラという意味ではアウト」と述べたが、詳細な調査や処分には触れていない。あまりに手ぬるい対応だ。

 立場を利用した人権侵害という深刻な疑念が生じているのに、事実確認すらしないのはなぜなのか。根拠のない疑惑というのなら、潔白を証明するために積極的に説明責任を果たすべきである。

 さらに麻生氏が「これまでの実績などを踏まえると、この一点で能力に欠けるとは判断していない」と語ったのには驚いた。個人の業績がどうあれ、セクハラが許されないのは職場の常識である。

 公務員の任免や懲戒などを定める人事院規則は「各省庁の長はセクハラ防止や排除に必要な措置を講じなければならない」としている。

 発言が事実なら麻生氏の任命責任ももちろん問われる。

■    ■

 4年前、東京都議会で女性都議の質問中に、「早く結婚した方がいい」「産めないのか」などのセクハラやじが飛び、批判が相次いだことがあった。

 当初、発言者が特定できないからと、うやむやにしようとした都議会と、今回の財務省の対応はよく似ている。セクハラに対する意識の低さと感度の鈍さは相変わらずで、問題の根の深さを見る思いがする。

 男女雇用機会均等法でセクハラ対策が強まり、企業では処分がルール化され、即アウトになるのに、官僚や政治の世界では旧態依然とした女性蔑視がまかり通っているのだ。

 野党の女性国会議員有志は財務省を訪ね、事実なら更迭をと要求した。

 安倍政権が掲げる「女性活躍」の看板を汚す疑惑である。与党の女性国会議員も一緒に行動すべきだ。

■    ■

 夜遅くに取材関係者と会い、飲む機会が多いからだろう。マスコミで働く女性のセクハラ被害は一般より多いといわれる。不愉快な言葉を投げられても相手との力関係から、声を上げるのをためらうケースも少なくない。

 昨年12月、岩手日報社は同紙の女性記者が、岩手県岩泉町長からわいせつ行為を受けたと発表し、厳重抗議した。町長は辞職に追い込まれた。

 権力者の理不尽な振る舞いに目をつぶりながら、セクハラ問題を報じるのは説得性を欠く。

 そのことも胸に刻みたい。