利用は個人の自由。個人情報が企業に使われても、便利さの代償だ。だがいつか「必ずしも好ましくない、むしろ迷惑、時に理不尽なこと」が起きるのではないか。作家の楡周平氏が2013年の著書「『いいね!』が社会を破壊する」で書いた懸念が現実になった

▼利用者20億人以上のインターネットの交流サイト大手フェイスブック(FB)。収集した個人情報が英政治コンサルティング会社に不正利用された問題が大きな波紋を広げている

▼先の米大統領選で最大8700万人分に上る個人情報が使われた。さらにロシア企業がFBに偽情報を投稿し、1億2600万人が影響を受けたという指摘もある

▼FB社のかつてのモットーは「素早く動き破壊せよ」。新サービスを次々と開発し、ビジネスの常識を覆して年間売上高4兆3千億円の大企業になった同社。民主主義の根幹をなす投票行動の公正さを「破壊」しかねない原因を作った

▼11日の米下院公聴会では創業者のザッカーバーグ氏が、自らの情報も流出したと証言。IT技術に精通した同氏ですら個人情報を守れなかった。一般利用者はなおさらだ

▼国境を越え人々が交流できるFBは、既に重要な情報インフラの一つになっている。収集した膨大なデータを収益の源とするならば、FB社には、それを適正に管理する相応の責任がある。(玉城淳)