2018年(平成30年) 4月23日

大弦小弦

[大弦小弦]有罪率99%以上。日本の刑事被告人は起訴された時点で…

 有罪率99%以上。日本の刑事被告人は起訴された時点で運命がほぼ決まっている。名古屋市の奥田恭正さん(61)は無罪が認められた1%未満のケースだ。近くまで行ったのを機に話をうかがった

▼低い建物ばかりの住宅街に、15階建てマンションが計画された。近所の人と反対運動を始めた奥田さんは2016年10月、工事の現場監督を突き飛ばしたとして逮捕され、暴行罪で起訴された

▼3畳ほどの留置場に別の容疑者と2人で入れられ、14日間帰れなかった。経営する薬局3店と自宅を家宅捜索された。追い込まれながらも「自分にうそはつけない」と否認を続けた

▼名古屋地裁は2月、監督の証言を疑問視して無罪を言い渡した。検察も控訴せずそのまま確定。そもそもなぜ監督の話をうのみにして逮捕したのか。奥田さんは今月、警察と話し合ったが、「捜査は正当だった」と主張するばかりだったという

▼リーダーが逮捕され、判決までにマンションはほぼ完成した。高江のヘリパッドと似ている。逮捕の日も沖縄の山城博治さんが逮捕される10日前だった

▼「思想も何もなかった」という奥田さんは、権力の不条理を身をもって知った。今、あくまで穏やかに「駄目なものを駄目だと言えるのは素晴らしいことです」と話す。辺野古や高江の現場もいつか訪ねてみたいという。(阿部岳)

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実
阿部 岳
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