「貝殻細工は方言でクェーグイ。この年になったらこれだけが楽しみだな」。沖縄県東村川田で「物作りおじいちゃん」と親しまれている人がいる。104歳になる池原直吉さん。ウミガメをモチーフにした貝殻細工は90の手習いで始めた。「失敗してもくよくよせず、何でも楽しむことが長生きのこつ」と笑顔を見せる。

90の手習いで貝殻細工を始めた池原直吉さん=10日、東村慶佐次の小規模多機能ホーム「あがり」

 2年前から小規模多機能ホーム「あがり」に入所する池原さん。入所前は、細工に使う貝殻を、集落はずれの浜で拾っていたという。「家ではたくさんウミガメを作った。地域の子どもがクェーグイを見ようとよく遊びに来ていたよ」と話す。

 入所後は、松ぼっくりやサンゴなどを利用した作品にも取り組んでいる。台座の板や飾り部分は百円均一ショップやホームセンターで調達。「最初の頃は失敗が多かった。接着剤の付け方を研究したよ。作品がすぐ壊れたら意味がないからね」と力説する。クェーグイを見に来てくれた人には、お土産としてプレゼントし喜ばれているという。

 池原さんは東尋常高等小学校を卒業し、家業の農業を手伝うようになった。20歳で幼なじみのハナ子さんと結婚後も農業ひと筋で9人の子どもを育て上げた。

 「戦時中は中支(中国大陸の中部地方)に行った。同級生は戦争で皆いなくなった。村踊り(豊年祭)は二才踊り、口説など芸に打ち込んだな。師匠もやった」と昔を懐かしむ。ホーム管理者の比嘉恵子さんは「昨年の忘年会では池原さんが太鼓をたたいた。抜群のバチさばきでリズム感も素晴らしかった」とたたえた。

 妻のハナ子さんは96歳で他界したが、孫9人、ひ孫8人と「人生の宝物は増えた」と言う池原さん。「何でも楽しむことが一番。今年の9月には105歳になるけど、もっともっとウミガメを作りたい」と器用に手を動かしていた。(玉城学通信員)